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ISAC×人流推定
──商用電波で挑むセンシングの実践と展望──
ISAC for Human Flow Estimation: Exploring Sensing with Commercial Wireless Signals
尾原和也 村上友規 樋下田海聖 小川将克

第6世代移動通信システム(6G)では,通信用電波を用いてセンシングを行うISAC(Integrated Sensing And Communications)が注目されている.本稿では,ISAC実現に向けて,我々が取り組んでいる移動通信システムの商用電波を活用した無線センシングシステムについて紹介する.本システムは,商用運用中の4G基地局の電波から電波伝搬情報を取得し,深層学習によって受信機周辺の人流を推定するものである.更に,大学での実証実験を通じて,商用電波による無線センシングシステムの有効性を示すとともに,今後の展望について述べる.
キーワード:5G/6G,ISAC(Integrated Sensing And Communications),人流推定,商用電波,深層学習
1. は じ め に
第6世代移動通信システム(6G)では,高速大容量化や低遅延,多数同時接続等の移動通信の高度化が期待されている.高度化技術の一つとして,ITU-R(用語1)による6Gの標準化規格IMT-2030(6G)(用語2)において,無線通信とセンシングを統合したISAC(Integrated Sensing And Communications)に関する検討が行われている(1).
ISACの利用形態の一つとして,移動通信システムにおける通信用の電波を活用し,通信機器周辺の状況をセンシングすることができる.そのため,点在する移動通信システムがセンサとしての役割を持つことができ,通信網の新たな付加価値の創出が期待される.ISACの活用先として,3GPP(用語3)では表1に示す多数のユースケースが規定されている(2).

これまでISACに関する実験検証例は少なく,それらも理論検討や実験用の基地局を用いた検証である(3),(4),(5).そこで,我々は図1に示すように,表1の3GPP規定のユースケースの中で屋外の道路における人流推定に注目し,実際に商用運用されている4G基地局の電波を活用した無線センシングの実証実験を実施した.開発した無線センシングシステムは,商用運用中の基地局から定期的に送出される通信のための同期用参照信号から電波伝搬(用語4)情報を取得するものであり,深層学習を用いて受信機周辺の人流をセンシングする.
本稿では,本実証実験の内容と結果を解説するとともに,商用電波を用いた無線センシングの課題や今後の展望について述べる.


