
「これでなければできない」研究を目指して
──光通信を変えたEDFA開発者の研究哲学──
中沢正隆(東北大学) × 植松友彦(電子情報通信学会会長)
2025年12月9日 機械振興会館にて開催
出席者
中沢正隆 東北大学 災害科学国際研究所 特別栄誉教授
植松友彦 電子情報通信学会会長 放送大学東京渋谷学習センター所長・特任教授
[植松]皆様こんにちは.本日は,光通信,量子エレクトロニクスといった分野で先駆的な業績を残されてきた東北大学の中沢正隆先生をお招きしております.先生は,21世紀の社会基盤としての光通信技術に決定的な貢献をした研究者として国際的にも高く評価され,NICTの萩本和男氏とともに2023年に日本国際賞を受賞されておられます.本日は先生の研究者としての歩みや,企業と大学における研究の違いについてじっくりと伺ってまいりたいと思います.どうぞよろしくお願い致します.

1. 大学院時代について
[植松]まずは先生の原点に迫りたいと思います.研究者として歩もうと決意されたのは,どのようなきっかけや体験からだったのでしょうか.
[中沢]それは私が大学院時代ですね.その頃,実験をやって,先生に報告すると,先生がずいぶん喜んでくれましたね.私自身実験をやるのが大好きで,良いデータが出てくると先生もうれしそうで,「研究って結構面白そうだな」と思いました.その頃が最初だったと思います.
先生にお願いして大学に残らせてもらうか,企業に行くかというのを悩んだんですけども,世の中の研究とか産業がどういうふうに動いているのか知りたいなという思いが強く,当時の電電公社に就職することにしました.
[植松]研究室に残ろうということは考えませんでしたか.
[中沢]考えました.研究が楽しいので,先生と一緒に「続きをやって」というのはずいぶん考えたんですけれども,自分には知らないことが多すぎるので,世の中を見てみたいという思いが強かったと思います.
[植松]大学院時代はどのようなテーマに取り組まれていたのでしょうか.

