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Vol.109 No.4 (2026/4) 目次へ

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タイトル

企業内AI研究における北米大学活用事例[Ⅰ]

──企業AIにおけるデータセット構築の省力化技術──

Case Studies of Leveraging North American Universities in Corporate AI Research[Ⅰ]: Efficient Methods for Constructing AI Training Datasets in Industrial Settings

加藤祐介 小塚和紀

加藤祐介 パナソニックホールディングスDX・CPS 本部

小塚和紀 パナソニックホールディングスDX・CPS 本部

Yusuke KATO and Kazuki KOZUKA, Nonmembers (Technology Division, Panasonic Holdings Corporation, Kadoma–shi, 571–8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.4 pp.315–320 2026年4月

© 2026 電子情報通信学会

タイトル

パナソニックホールディングスの本社研究部門でAIの研究開発を推進する筆者らは2021年よりUC-Berkeley校の産学連携プログラムBAIR Commonsに参画し,同大学と共同研究を行っている.AIを当社の様々な事業に適用するには良質なデータセットが必要であるが通常,これらの作成には多大なコストが伴い事業化のハードルとなっている.本稿ではAIの学習データをラベル付けするアノテーション作業の負担を削減するために同大学と連携して開発した二つの研究成果について紹介する.

キーワード:Vision and Language,アノテーション,画像セグメンテーション

1. は じ め に

パナソニックグループは家電をはじめとする暮らし向けの事業から小売り・流通のサプライチェーン向けシステムソリューション事業など多岐にわたる商品群を展開している.ホールディングスの研究部門ではこれまで各事業会社の成長に資する共通基盤技術としてAIの研究開発に注力してきたが,AIを個別事業の様々なドメインに適用する際に幾つかの問題に直面してきた.AIを各現場に導入する際には通常,現場ごとに学習用のデータを収集,正解ラベルを付与するアノテーション,そして作成した学習データでAIをチューニングする工程が必要となる.特にアノテーションは学習データの品質を左右する非常に重要な工程であり,通常多くの時間と人的工数をかけて行うため,個別の現場ごとにAIの開発者が必要であり,AIを事業としてスケールすることが難しい.

我々は2021年よりUC-Berkeley校が主催する産学連携プログラムBAIR Commonsに参画しAI開発工程におけるデータセット作成の負担削減を目的とした実用的な研究開発を推進している.本解説記事は2部構成となっており,第1部の本稿ではこれまでの研究成果の中から,画像セグメンテーションにおけるアノテーション作業の負担削減に適用可能なVision and Languageモデル(用語1)に関する論文を2編紹介する.

2.3.でそれぞれの手法を紹介し,4.で今後の展望を結ぶ.

2. Hierarchical Open-vocabulary Universal Image Segmentation(HIPIE)

2.1. 研究の背景

画像セグメンテーションは,ピクセル単位で画像の領域分割を行うタスクである.古くは2015年に発表されたFully Convolutional Networks(FCN)(1)にはじまり,主にネットワークの改良を中心に性能向上が進められていた.近年,言語モデルを搭載した自然言語指示による画像認識モデルCLIP(2)が登場したことで,画像セグメンテーションの分野においても大規模言語モデルを活用したVision and Languageの研究が盛んに進められている.


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