電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.109 No.5 (2026/5) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


タイトル

AIが支える社会システム

特集編集にあたって

編集チームリーダー 池田和史

 AI技術の進展と社会実装が加速し,交通・防災・エネルギーなど社会インフラでもAIは不可欠になりつつある.他方,社会システムにAIを組み込むには,信頼性・安全性の確保に加え,制度や合意形成を含むガバナンスが重要である.本特集「AIが支える社会システム」では,社会システムにおけるAIの担う役割の全体像と,各領域の先進事例,そしてそれらを支える基盤技術を紹介する.

 本特集では,都市・防災・モビリティから,エネルギー,通信,農業,フィジカルAI,ドローンまで,多様な社会領域を横断してAIの価値と課題を取り上げた.加えて,品質マネジメントや省電力アーキテクチャ,量子計算といった基盤的論点にも光を当て,社会実装を支える条件を多面的に捉える.

 読者の皆様が,各分野の知見を相互に参照しながら,データ・通信・運用を含むシステム全体としてAIを設計する視点を得て頂ければ幸いである.

 第1章は都市計画の観点から,人口減少・脱炭素・災害リスク等に向けたAIの役割を俯瞰し,新たな都市モデルを展望する.第2章は技術潮流と政策動向を整理し,AIガバナンスの重要性とAI共生社会の姿を論じる.第3章は防災DXの取組みを概観し,被災者支援AIサービス基盤やデジタルツイン等,次世代防災の方向性を示す.第4章は3次元AIとデジタルツインで橋梁点検と交通を高度化する実証を紹介する.第5章は既築ビルでの省エネ行動変容支援・高度化・フォルト検知から,エリアエネルギーマネジメントの全体像を提示する.第6章は通信運用における生成AI・AIエージェント活用(AgenticOps)とネットワークデジタルツインの役割を概観する.第7章はデータ駆動型農業の重要性とAI事例,データ連携基盤の活用を解説する.第8章は自動運転を題材に,VLMからVLA,世界モデルへ広がるマルチモーダルAIの進化を整理する.第9章はPhysical AIの新展開として,ムーンショットから産学連携のデータ基盤構築まで,研究と社会実装の動きを紹介する.第10章はAIと通信の進展を背景に,上空通信・AI分析・運航管理システムを統合したドローンの社会実装動向と事例,展望を述べる.第11章はAI品質マネジメントの難しさを技術・産業・社会の観点で整理し,ガイドライン活用に加え,企業間協力や社会との対話,制度整備,国際協調の重要性を論じる.第12章は電力消費の課題に対し,非ノイマン型/ニューロモルフィック等のアーキテクチャと新しい回路・アルゴリズムの方向性を解説する.第13章は現状の延長線上のAIにできないことを起点に,量子計算がもたらし得る理論的優位性と実践的アプローチ,現状の性能と課題を概観する.

 本特集が,AIで社会課題を解くための視点と論点整理の一助となれば幸いである.本特集をきっかけに,産官学民の連携が更に進み,持続可能で強靭な社会システムの実現に向けた議論が深まることを期待する.

 最後に,御多忙な中執筆に御協力頂いた著者の皆様に深く感謝を申し上げます.また,本特集の企画に協力頂いた本誌ワーキンググループDの委員並びに編集事務局の皆様の御尽力に深く感謝を申し上げます.

特集編集チーム  池田 和史  粟野 智治  井口  寧  石田 晧之  伊藤 伸一  伊藤  崇  岩崎  翔  臼倉  徹  内田  翼  掛井 将平  金子 智一  唐木田 亮  川上 哲志  鍬本 賢志  坂田 幸辰  坂本  隆  佐久間大樹  白勢 政明  田原 俊一  Hautasaari Ari  李   智


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。