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Vol.109 No.5 (2026/5) 目次へ

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タイトル4.

3次元AI技術を活用した実証事例と今後の展望

Demonstration Studies on the Application of 3D AI Technologies and Future Prospects

小倉一峰 柗本侑也 安倍次朗 廖 柏維 松尾 司

小倉一峰 正員 日本電気株式会社ビジュアルインテリジェンス研究所

柗本侑也 日本電気株式会社ビジュアルインテリジェンス研究所

安倍次朗 日本電気株式会社ビジュアルインテリジェンス研究所

廖 柏維 日本電気株式会社ビジュアルインテリジェンス研究所

松尾 司 日本電気株式会社ビジュアルインテリジェンス研究所

Kazumine OGURA, Member, Yuya MATSUMOTO, Jiro ABE, Powei LIAO, Tsukasa MATSUO, Nonmembers (Visual Intelligence Research Laboratories, NEC Corporation, Kawasaki-shi, 211–8666 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.5 pp.357–363 2026年5月

© 2026 電子情報通信学会

本稿では,インフラの保全及び安全な交通の実現に向け,3次元AI技術を活用した実証事例を報告する.土木分野では,橋梁点検作業の効率化を目的とし,3次元データと点検画像を紐づけることによってデジタルツイン上での点検記録を自動化する実証について紹介する.交通分野では,インフラセンサで車両・歩行者を検知することによって安全・安心で効率的な交通を提供するインフラ協調モビリティの実証について紹介する.3次元AI技術の社会実装に向けた課題と今後の展望についても述べる.

キーワード:3次元,AI,デジタルツイン,社会インフラ

1. は じ め に

我々を取り巻く環境は,日々変化し続けており,高齢化,人口減少,過疎化,構造物老朽化,温暖化と様々な課題に直面している.これに伴い,社会インフラに対する考え方や在り方が変化してきている.土木分野では,老朽化するインフラ構造物の維持管理を「事後保全」から「予防保全」とすることで全体コストを削減する方針に変わってきている(1).交通分野では,人口が減少している中でも人々が安全で安心に暮らし続けられるよう,自動運転などのデジタル技術を活用したサービスを支える交通インフラの整備が求められている(2)

こうした背景の中,AI技術は急速に進化しており,社会課題の解決を担う技術として期待されている.カメラやLiDARのセンサから得られるデータによって,実世界で起きている事象を3次元のデジタル空間へ反映する技術を,本稿では3次元AI技術と呼ぶ.我々は3次元AI技術によって実世界のデジタルツインを構築し,社会インフラを支えていくことを目指している.点検結果の記録をデジタル空間上で記録することで,インフラ保全業務の効率化が可能になる.更に,デジタル空間上で車両や歩行者の存在や位置を特定し,道路利用者間で共有することや,状況に応じた適応制御を行うことで,安全・安心で効率的な交通サービスの提供にもつなげることができる.

本稿では,土木分野と交通分野における応用事例を紹介し,3次元AI技術の有効性について示すとともに,社会実装に向けた課題と今後の展望について述べる.

2. 土木分野への応用事例:橋梁点検の効率化

2.1. インフラ構造物の点検における課題

橋梁の多くは,高度成長期に竣工されており,橋梁の一般的な耐用年数の目安とされる50年が経過し,老朽化が深刻な社会課題となっている.一方,日本は労働人口が減少しているため土木技術者の数が不足し,人手をかけずに点検品質を維持・向上する方法の確立が急務となっている.


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