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Vol.109 No.5 (2026/5) 目次へ

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タイトル5.

既築ビルのエネルギーマネジメントにおけるAI技術の活用

AI Applications in Energy Management for Existing Buildings

小松秀徳 Maryanne L. FISHER 上野貴広 高口洋人 村上公哉

小松秀徳 (一財)電力中央研究所グリッドイノベーション研究本部

Maryanne L. FISHER Saint Mary’s University, Faculty of Science, Psychology

上野貴広 北九州市立大学国際環境工学部建築デザイン学科

高口洋人 早稲田大学理工学術院創造理工学部

村上公哉 芝浦工業大学建築学部建築学科

Hidenori KOMATSU, Nonmember (Grid Innovation Research Laboratory, Central Research Institute of Electric Power Industry, Yokosuka-shi, 240–0196 Japan), Maryanne L. FISHER, Nonmember (Faculty of Science, Psychology, Saint Mary’s University, Halifax, Nova Scotia, Canada), Takahiro UENO, Nonmember (Department of Architecture, Faculty of Environmental Engineering, The University of Kitakyushu, Kitakyushu-shi, 808–0135 Japan), Hiroto TAKAGUCHI, Nonmember (School of Creative Science and Engineering, Faculty of Science and Engineering, Waseda University, Tokyo, 169–8555 Japan), and Kimiya MURAKAMI, Nonmember (Department of Architecture, School of Architecture, Shibaura Institute of Technology, Tokyo, 135–8548 Japan)

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.5 pp.364–368 2026年5月

© 2026 電子情報通信学会

内閣府SIP第3期研究テーマである「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」での技術実証を軸に,既築ビルのオペレーション段階における脱炭素化を支援する三つの施策を紹介する.具体的には,データ利用に制約がある中での省エネ行動変容情報提供の実装方法,データが利用可能な状況下での高度化方策,ビル内でのエネルギー利用に関する不具合検知の実装例を示す.これにより,電力需給の安定化とカーボンニュートラルを両立する“エリアエネルギーマネジメントシステム”の全体像を提示する.

キーワード:事業所,エネルギーマネジメント,ナッジ,デマンドレスポンス,フォルト検知

1. は じ め に

我が国の目標として掲げられている2050年までのカーボンニュートラル達成(1)に向けて,建物の運用段階における脱炭素化は喫緊の課題である.一方で,新築建物の全建物ストック(用語1)に対する年間延べ床面積割合は約1.7%(2),(3),住宅を除いても約1.9%(2),(3)であるため,既築ビルにおける脱炭素化はとりわけ重要である.

こうした背景の下,内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期(2023~2027 年度)では14課題が設定されており,そのうちの一つが「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」,更にそのサブ課題の一つがC「エネルギー最適利用」である.サブ課題Cには三つの課題が設定されており,その一つがC1「エリアエネルギーマネジメントシステムのプラットフォーム開発と実装」である.

筆者らは,C1の個別テーマC1-②「既存建築物に実装できるエリアエネルギーマネジメントシステムの開発」において,既築ビルでの脱炭素化を目的とした研究プロジェクトを進めている.

2. プロジェクト概要

本プロジェクトでは,既築ビルの運用段階で,オペレーションデータ(用語2)等を活用して脱炭素化を促進する施策として,エネルギーマネジメントシステム(EMS)(用語3)の開発を進めている(図1).新築ビルでは着工時に計測のためのハードウェアなどを設置することは比較的容易だが,既築ビルにこうした改修工事を実施することは難しい場合が多い.そこで,本プロジェクトはEMSの後付けによって各種の介入を実施可能にする各種枠組みの検討を進めている.活用するデータの種類に応じて,エリアEMS,大規模ビルEMS,中小規模ビルEMSに分かれるが,本稿ではこのうち中小規模ビル用の実装方法を中心に紹介する.


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