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走行中ワイヤレス給電を支える磁界共振結合の三つの技術
Three Core Technologies Supporting Dynamic Wireless Power Transfer Using Magnetic Resonant Coupling

本稿では,アスファルト道路内にコイルを埋設し,走行中の電気自動車(EV)へ無線で電力を供給する走行中ワイヤレス給電(DWPT)技術の概要を示す.走行中ワイヤレス給電の実用化には,三つの重要な技術が必要である.第1は,高速で移動する車両に対して安定した給電を実現するための制御技術であり,送電回路の切替えや車速推定などを含む.第2は,コイルをアスファルト舗装や地下構造物内に埋設した場合でも,良好な電気特性と十分な機械的強度を両立させるコイル埋設技術である.第3は,シールドコイルなどを用いて周囲空間へ放射される漏えい磁界を抑制する電磁設計技術である.本稿では,著者らの最近の研究成果に基づき,これら三つの技術を紹介するとともに,走行中ワイヤレス給電の現状と今後の展望について述べる.
キーワード:走行中ワイヤレス給電,磁界共振結合,埋設コイル,アクティブシールド,漏えい磁界抑制
1. は じ め に
地球温暖化対策やカーボンニュートラルの観点から,輸送部門における排出削減が求められており,電気自動車(EV)の普及が進んでいる.しかし,車載バッテリのみで長距離走行を行う場合,航続距離制約,急速充電インフラの整備,バッテリ容量増大に伴うコスト・重量の増加など,解決すべき課題も多い.
この課題に対する一つの有力な解決策が,走行中に道路側からEVへ電力を供給する走行中ワイヤレス給電(DWPT: Dynamic Wireless Power Transfer)である.特に,本稿で扱う磁界共振結合方式は,送受電コイル間の結合係数が変動しても高効率を維持しやすく,EVへの適用が期待されている.
一方で,走行中ワイヤレス給電を実用化するためには,以下の三つの技術が重要である.
一つ目は,高速で移動する車両に給電する制御技術である.多数の送電コイルを敷設した道路上を車両が高速で通過しても,待機電力を減らしつつ安定した電力供給を維持する必要がある(1),(2),(3),(4),(5),(6).
二つ目は,地中などにコイルを埋設しても電気特性と機械特性を両立するコイル埋設技術である.道路としての耐久性を損なわずに,長期にわたりコイルを使用する必要がある(7),(8),(9),(10),(11),(12),(13),(14),(15),(16),(17).
三つ目は,空間に放出される漏えい磁界を抑制する技術である.人体防護指針や電磁環境規制を満たすためには,送電・受電・シールドコイルからの磁界を適切に設計する必要がある(18),(19),(20),(21),(22).
本稿では,上記三つの観点から走行中ワイヤレス給電システムを俯瞰し,文献(1),(7),(18)を基に要点を整理して紹介する.
2. 走行中ワイヤレス給電システムの概要
図1に,本稿で対象とする走行中ワイヤレス給電システムの概略構成を示す.道路側には複数の送電コイルが道路の進行方向に沿って直列に配置され,各送電コイルは共振回路(Resonance circuit)を介してインバータ(送電回路)に接続される.車両側には受電コイルと共振回路(補償回路),DC/DCコンバータ及び車載バッテリが搭載され,車両が送電コイル上を通過する間に磁界共振結合により電力が伝送される.


