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Vol.109 No.6 (2026/6) 目次へ

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タイトル

企業内AI研究における北米大学活用事例[Ⅱ・完]
──企業AIにおけるデータ生成技術──

Case Studies of Leveraging North American Universities in Corporate AI Research[Ⅱ・Finish]: Technologies for Generating AI Training Data in Industrial Settings

加藤祐介 小塚和紀

Yusuke KATO and Kazuki KOZUKA, s (Technology Division, Panasonic Holdings Corporation, Kadoma-shi, 571-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.6 pp.512–517 2026年6月

© 2026 電子情報通信学会

パナソニックホールディングスの本社研究部門でAIの研究開発を推進する筆者らは2021年よりUC-Berkeley校の産学連携プログラムBAIR Commonsに参画し,同大学と共同研究を行っている.AIを当社の様々な事業に適用するには良質なデータセットが必要であるが通常,これらの作成には多大なコストが伴い事業化のハードルとなっている.本稿ではAIの学習データを収集する負担を削減するために同大学と連携して開発した幾つかの研究成果について紹介する.

キーワード:RLHF,Kahneman-Tversky理論,Diffusion model,Any-to-Any

1. は じ め に

パナソニックグループは家電をはじめとする暮らし向けの事業から小売り・流通のサプライチェーン向けシステムソリューション事業など多岐にわたる商品群を展開している.ホールディングスの研究部門ではこれまで各事業会社の成長に資する共通基盤技術としてAIの研究開発に注力してきたが,AIを個別事業の様々なドメインに適用する際に幾つかの問題に直面してきた.AIを各現場に導入する際には通常,現場ごとに学習用のデータを収集,正解ラベルを付与するアノテーション,そして作成した学習データでAIをチューニングする工程が必要となる.データ収集は時間や場所,コストの制約でAIの性能向上に必要な十分にバリエーションあるデータを収集できない課題がある.

我々は2021年よりUC-Berkeley校が主催する産学連携プログラムBAIR Commonsに参画しAI開発工程におけるデータセット作成の負担削減を目的とした実用的な研究開発を推進している.本解説記事は2部構成となっており,第2部の本稿ではこれまでの研究成果の中から,主に画像生成のパーソナライズ技術,マルチモーダル生成モデルに関する論文を2編紹介する.

2.3.でそれぞれの手法を紹介し,4.で今後の展望を結ぶ.

2. 画像生成パーソナライズ
──Diffusion-KTO──

2.1. 研究の背景

拡散モデル(Diffusion Model)は,確率過程に基づく生成手法であり,近年の画像生成AIの発展に重要な役割を果たしている.基本的な考え方は,画像データに少しずつノイズを加えていき,完全なノイズにした状態から,再び元のデータを復元する過程(ノイズ除去)を学習する(図1).拡散モデルは学習が非常に安定しており,近年ではStable Diffusion(1)やImagen(2)などがテキスト指定で高品質な画像を生成することに成功し,視覚表現の多様性を飛躍的に拡大した.

拡散モデルの仕組み


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