
(写真:敬称略)
本会選奨規程第17条による最優秀論文賞(第8回)は,下記の論文を選定して贈呈した.
八木・宇田アンテナを用いた28 GHz帯室内基地局用マルチセクタアンテナの設計と伝搬試験評価
(和文論文誌B 2025年7月号掲載)

受賞者 木村泰子

受賞者 井上祐樹

受賞者 新井宏之
5Gや6Gなどの移動通信では,今後もトラヒック増加が見込まれ,高速・低遅延・大容量通信を実現する快適な通信環境のために,広帯域を確保できる準ミリ波帯などの高周波数帯が用いられている.一方,高周波数帯は遮蔽損失が大きく通信範囲が限られるため,Massive MIMOによる高利得アンテナが導入されているが,装置の大規模化や消費電力増大が課題である.この課題を解決する一つの方法として,3GPP仕様に基づくマルチビームアンテナ方式がある.
本論文は,極力少ないブランチ数で基地局の水平面全方位をカバー可能なアンテナ構成であることと,簡易に製作可能な高利得マルチセクタアンテナの実現を目的とし,八木・宇田アンテナを用いた28 GHz帯室内基地局用マルチセクタアンテナの提案を行った.高利得素子を実現するために誘電体基板にバラン付き回路給電を使用したダイポール構成の八木・宇田アンテナ素子を採用し,更に平面反射板を配置しサイドローブの低減と素子間結合量の抑制を図ることで,アンテナ利得15 dBi以上を達成した.本アンテナ素子をV偏波用及びH偏波用として交互に合計12素子を円形に配置することで,直径150 mm以下の12セクタマルチセクタアンテナを実現した.更に,室内オフィス環境を想定したシールドルーム内において実施した伝搬試験により,提案アンテナは各ブランチを活用したエリア構築が可能であることを実証した.
本論文では,提案する室内基地局用マルチセクタアンテナを用いることで,コンパクトな高利得アンテナ構成で十分なMIMO効果が得られることが示された.これらの成果は,高周波数帯の有効活用に資する有望な技術として,本会論文賞にふさわしい論文として高く評価できる.


