電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.109 No.8 (2026/8) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


タイトル

エッジコンピューティング技術の進化と実用展開

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 鈴木晃人

 5G/6G時代において,超低遅延・高信頼なサービスへの需要が高まっている.エッジコンピューティングは,ネットワークエッジに配置したエッジサーバで計算処理を行う技術であり,端末とサーバ間の物理的距離を縮めることで低遅延を実現する.マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)は,更に無線基地局内に計算リソースを組み込むことで,より一層の低遅延化を進めた方式である.

 本小特集では,エッジコンピューティング分野における最新の研究動向と実用化に向けた取組みを紹介する.第1章では,MECアーキテクチャやIn-Network Computingといった基盤技術を,第2章では,量子コンピューティングや分散学習といった他分野の先端技術との組合せによる応用技術を,第3章では,物体検知システムやスマート農業など,低遅延性を活用した実用化技術を紹介する.

 第1章1-1では,MECを仮想的なユーザ機器(UE)として抽象化し,5Gコアネットワーク(5GC)の制御下で通信品質やセキュリティポリシーを一元管理する仮想UE型MECアーキテクチャの概念と実証実験の結果を紹介頂く.

 第1章1-2では,標準的な5GシステムにおけるMECの構造的課題を整理し,中央拠点から分断された状況でも通信・計算サービスを継続できる耐障害性アーキテクチャの設計を紹介頂く.

 第1章1-3では,ネットワークが通信と計算処理を一体的に管理・最適化するIn-Network Computingのアーキテクチャについて解説頂く.AI推論精度を大幅に向上させた商用5G網を用いた実証実験などの成果を紹介頂く.

 第2章2-1では,量子コンピュータをエッジ環境に組み込む量子エッジコンピューティングについて解説頂く.ユーザ端末やエッジノードを連携させたタスク分散処理技術の仕組みと,ネットワーク制御や量子機械学習などの応用領域を紹介頂く.

 第2章2-2では,大規模深層学習モデルをエッジ環境で活用するための分散・協調コンピューティングの技術動向について解説頂く.代表的な並列化方式と,計算グラフ構造に起因する通信特性を踏まえた設計上の課題と今後の展望を紹介頂く.

 第2章2-3では,分散機械学習におけるモデルパラメータ集約の高効率化する手法について解説頂く.各エッジサーバでのローカル学習を生かしながら,データ転送経路・転送先サーバの最適選択を行う手法を紹介頂く.

 第3章3-1では,エッジ向けAIデバイス上で動作する物体検知手法について解説頂く.過去の検知結果から注目領域(RoI)を予測する軽量なLSTMモデルと,RoI群を集約した画像を用いた推論処理により,GPU使用率を大幅に削減する手法を紹介頂く.

 第3章3-2では,ベストエフォート型ネットワーク下でも高い操作性・安定性を維持する遠隔ロボット操作のリアルタイム品質制御アーキテクチャについて解説頂く.秋田─東京間のイチゴ収穫実証実験において,操作性・作業効率の大幅な向上を達成した成果を紹介頂く.

 最後に,御多忙の中,執筆を御快諾頂いた執筆者の皆様に心から感謝申し上げます.また,企画立案から編集作業まで御協力頂いた編集チーム,編集委員の皆様,並びに学会事務局の皆様にも,この場をお借りして御礼申し上げます.本小特集が,会誌読者の皆様にとっても有益な内容となることを期待致します.

小特集編集チーム  鈴木 晃人  久野 伸晃  中村 光貴  廣田 悠介  保前 俊稀  山之内慎吾  吉井 一駿


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。