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Vol.109 No.8 (2026/8) 目次へ

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タイトル1-1 1. エッジコンピューティング基盤技術

5GCによる一元的なポリシー管理を実現する仮想UE型MECアーキテクチャの提案

A Virtual UE-based MEC Architecture for Unified Policy Management with 5GC

石原 匠 渡邊大記

石原 匠 正員 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科

渡邊大記 ソフトバンク株式会社

Takumi ISHIHARA, Member (Graduate School of Media and Governance, Keio University, Yokohama-shi, 245-0053 Japan) and Hiroki WATANABE, (SoftBank Corp., Tokyo, 135-0064 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.8 pp.–000 2026年6月

© 2026 電子情報通信学会

MEC(Multi-access Edge Computing)は低遅延・高セキュリティなサービス基盤として期待されているが,従来のアーキテクチャでは5Gコアネットワーク(5GC)の外部に配置されるため,通信ポリシーの一貫した適用が困難であった.本稿では,MEC基盤を仮想的なUE(vUE)として抽象化し,5GCの制御プレーン下で直接管理するvUE-MECアーキテクチャを提案する.これにより,複雑な属性変換なしにQoSやセキュリティポリシーの統合管理が可能となる.本稿ではその概念とPoCによる実証結果を詳説し,今後のモバイルエッジ環境の在り方を展望する.

キーワード:MEC,5Gコアネットワーク,ネットワークスライシング,クラウドネイティブ,ポリシー管理

1. はじめに:MECの期待と現状のギャップ

5Gネットワークの本格的な普及に伴い,新たなモバイルアプリケーションへの期待が高まっている.例えば,自動運転車の遠隔監視,スタジアムにおけるAR/VRを活用した体験共有,工場における産業ロボットの高精度な遠隔制御など,通信と計算が高度に連携するサービスが現実味を帯びつつある.

これらを支える基盤技術として,Multi-access Edge Computing(MEC)が注目されてきた(1).MECは,通信事業者ネットワークの内部にコンピューティングリソースを配置することで,インターネットを経由しない低遅延かつ高信頼な処理基盤を実現することを目的とする.この構造により,モバイルネットワークの特性を生かした新しいサービスの創出が期待されている.

一方で,MECの概念が広く共有され,技術的な標準化や基盤整備が進展しているにもかかわらず,その特性を十分に活用したサービスが社会に広く定着しているとは言い難い.実証実験や限定的な導入事例は存在するものの,汎用的な活用モデルとして確立されたとはまだ言えない状況にある.

この背景には,単なる技術成熟度の問題にとどまらない,構造的な要因が存在すると考えられる.すなわち,MECが想定する理想的な利用形態と,現在のモバイルコアネットワーク及びエッジ基盤の構成との間に設計上の隔たりがあること,更に開発者や運用者の視点から見た制御・管理の複雑性が影響している可能性がある.

本稿では,まず現在のMECアーキテクチャとその運用上の課題を整理し,その上で,5GCの制御機構を活用した新たな統合アプローチについて議論する.

2. 現在のMECアーキテクチャと運用上の課題

MECの価値は,低遅延や高帯域といったモバイルネットワークの特性をどこまで活用できるかに大きく依存する.そのためには,QoS(Quality of Service)やセキュリティなどのサービスポリシーを適切に適用し,ネットワーク全体で一貫した制御を行う仕組みが不可欠である.しかし,現在の標準的なネットワーク構成では,この一貫性を保つために追加的な設計や運用上の工夫が必要となる場合が多い.


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