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解説
ネットワーク仮想化サービス基盤の進展と今後の展望[Ⅰ]
――進化形ネットワーク仮想化と統合管理技術――
The Development and Future Prospects of Network Virtualization Service Infrastructure [Ⅰ]:Advanced Network Virtualization and Orchestration and Management Technologies
目 次
[Ⅰ]進化形ネットワーク仮想化と統合管理技術(12月号)
[Ⅱ・完]サービス合成可能なネットワークプラットホーム技術(1月号)
abstract
筆者らは,2008年から,プログラム可能な独立なリソースの集合である「スライス」を用いて新世代プロトコルサービスを構成する持続進化可能な「ネットワーク仮想化基盤」の研究を始め,現代で言うSDNとNFVの融合に相当する概念やそれを超えるデータプレーンのプログラム性を含むDeep Programmabilityの概念を提唱し,2010年までの6者共同研究,2011年から7者の委託研究により推進した実績がある.本稿ではその経緯・歴史と今後の発展を議論する.
キーワード:ネットワーク仮想化,Deeply Programmable Networking(DPN),SDN,NFV
1960年代後期のARPANETを起源とするインターネットは,1990年代の商用化に伴い改良され,現代では,我々の社会生活に必要不可欠な重要情報社会基盤となっているが,2000年頃には「Ossified」と認識されるようになる.つまり,2001年に出版されたU.S. National Research Council Reportには「successful and widely adopted technologies are subject to ossification, which makes it hard to introduce new capabilities…」とあるように革新的な成長が困難であるという課題が認識されたのである.
そこで,2007年には,「クリーンスレート(Clean Slate)」(黒板を全て消した上で新たなアーキテクチャを描くという意味)なアプローチでインターネットを再設計する研究開発が世界中で始まった.
米国では,NSF(National Science Foundation)の研究開発予算でGENI(Global Environment for Networking Innovations)プロジェクト(1)が始まるが,同時期,2008年頃には,我が国でも情報通信研究機構(NICT)が中心となり,新たなインターネット,つまり,「新世代ネットワーク」を実現するための研究開発が開始されている.新世代ネットワークを支えるネットワーク基盤技術の最も重要な特徴として,様々な新しいプロトコルを実験的に実証可能な進化形の「ネットワーク仮想化技術」の研究開発が推進されることになった.
筆者らは,NICTの共同研究,及び,委託研究として,仮想化ノード(VNode)プロジェクトを始動し,2008年から2015年に掛けてのプロジェクトの成果は数え切れない.
この共同研究と委託研究では,新世代ネットワークにおける複数の新しいプロトコルやサービスを実証するための,クリーンスレートな実験環境を提供するテストベッド構築技術として進んだ側面もあるが,当初から,委託研究は,計算・ストレージ・ネットワーク資源を,スライス(用語)という単位で分離することにより,様々な複数のネットワークアーキテクチャをお互いに干渉しないようにスライス収容する,という「メタアーキテクチャ」としての,先進的なネットワーク仮想化技術の研究開発として進められた.
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