300GHz帯を用いたテラヘルツ無線用小形高速送受信機を開発

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Vol.99 No.12 (2016/12) 目次へ

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300GHz帯を用いたテラヘルツ無線用小形高速送受信機を開発

 日本電信電話株式会社(NTT),富士通株式会社,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は,共同で,300GHz帯を用いたテラヘルツ無線用小形高速送受信機を世界で初めて開発した.

 テラヘルツ波帯として知られる0.1~10THzを搬送波とするテラヘルツ無線は,その広い帯域を利用することにより比較的簡易な変調方式で,100Gbit/sを超える高速無線が実現できると期待されている.テラヘルツ無線は,その短波長性から装置の小形化が,また,簡易な変調方式から低消費電力性が期待され,昨今大容量データの取り扱いが増えているスマートフォン等のモバイル端末での高速データダウンロードなどへ適すると考えられる.

 これまで,テラヘルツ無線の伝送速度向上に向けた研究開発は,主に光デバイスを用いてテラヘルツ波を発生させる方式で行われてきたが,実用化に向けては半導体デバイスによる集積回路(IC)化が望まれていた.

 今回,超高速デバイスとして知られているインジウムりん高電子移動度トランジスタ(InP-HEMT)を用いて,送受信機向けに高周波回路を設計,及びIC化し,300GHz帯を用いたテラヘルツ無線用小形送受信機を実現した.

 送信機は,ICを実装した金属パッケージ間及びアンテナを導波管で接続する一体化構造で実現し,20Gbit/sのデータ送信が可能である.一方,受信機は,スマートフォンサイズの端末への組込みを想定して,アンテナ一体形金属パッケージにICを実装することで1cm3サイズを実現し,無線区間を介して受信した無線信号を復調し,データ信号として出力する(図1).

fig_1.png

 実証実験では,開発した送信機と受信機を対向させ,20Gbit/sのデータ伝送を実施し,その結果,1mを超える伝送距離において,エラーフリー伝送が可能となることを確認した.更に,二組の送受信機を用いて,互いに直交する偏波を用いた偏波多重伝送実験を行い,40Gbit/sのデータ伝送が可能であることも確認した.


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