特別小特集 ネットワーク数理の新潮流
5. 複雑ネットワーク解析における非バックトラック
A Brief Introduction to Non-backtracking in Network Analysis
小蔵正輝
小さな工夫が生み出す大きな効果
小さな工夫が生み出す大きな効果
入門Federated Learning:デバイスが連携して学習する新たな機械学習フレームワーク
インフラネットワークの信頼性を正確に評価するアルゴリズム
国内で社会実装が進む周波数共用システムの仕組みを概説する
拡大するトラヒックの収容に必要な周波数資源の枯渇が深刻な問題となる中,その解決策として異なる目的のシステムによる周波数共用の導入が世界的に議論されている.日本では,2014年に地上デジタルテレビジョンの放送周波数帯域における,運用調整の自動化により周波数共用がスタートしている.そして,2021年度には2.3GHz帯において第5世代移動無線通信との周波数共用の社会導入が計画されている.本稿では,テレビホワイトスペース等運用調整システム,及び2.3GHz帯ダイナミック周波数共用管理システムについて解説する.
新たな電波利用ニーズの爆発的拡大への対応策としての動的周波数共用
動的周波数共用システムの実用化が最も進んでいるのは米国である.米国は,民間の電波利用ニーズに応えるため,連邦政府用周波数の有効利用を図ることに着目し,官民周波数共用枠組みを創設したことが契機となっている.欧州においても,国際的にはIMT(International Mobile Telecommunications)バンドに配分されているものの,国によっては政府機関へ割り当てられているため,民間でも使用可能となるよう,周波数共用システムの導入が検討されてきた経緯があった.5G時代になると,自営網への5G実装ニーズの高まりにより,動的周波数共用はプライベート5Gへの対応策として注目され,6G時代には,動的周波数共用システムは完全に自動化されることが見込まれる.
周波数資源ひっ迫の一大解決策!
周波数共用を理解するために必要となる基本原理として,運用パラメータ,許容干渉量,伝搬モデル,離隔距離,資源の時間・周波数・空間的な分割などについて説明する.
機械学習を量子計算機で実行するための基本タスクを紹介
誤り耐性を有する理想的な量子計算機は,重ね合わせの原理などの量子力学の性質を利用することで,従来形計算機より少ないリソースで特定の計算タスクを実行する.しかし,現在を含め当分の間は,誤り耐性を持たない量子計算機のみが利用可能である.このような限定された状況で何ができるかについて,変分量子回路法をはじめとし,近年盛んに研究がなされている.機械学習もそのターゲットの一つである.特に機械学習では,データをいかに効率的に量子計算機に読み込ませるか(ロードするか),ロードしたデータをいかに効率良く量子回路で計算するか(量子回路設計),そして計算結果をいかに取り出すか(観測の最適化)が,量子計算機の優位性を保証するための鍵となる.本稿では,この三つの問題を軸に,筆者らの最近の研究を幾つか紹介する.
量子情報処理に内在する普遍的な限界に,状態識別という観点から迫る
量子情報処理は,暗号や関数計算をはじめとする応用先に加え,近年機械学習におけるその可能性も期待され,精力的に研究が進められている.その更なる発展のためには,量子情報処理に内在する普遍的な限界を明確化することも重要である.その際,量子情報処理に特有な性質を有する情報読出し部分に着目し,その限界を究明するのが量子状態識別である.本稿の前半では量子状態識別の基本的数理を解説し,後半では近年発展の目覚ましい,分散形量子情報処理における状態識別の最適化についてその数理課題としての重要性を交えて紹介する.