小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――   メディアアートとSTEAM教育 Media Art and STEAM Education

小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――
 
メディアアートとSTEAM教育
Media Art and STEAM Education

p.869
加藤良将

本稿は,芸術大学における創造性と論理的思考を育成することを目指したSTEAM教育に基づく授業展開を下に,プログラミングと芸術表現が関わり合う場における教育的な意義を考察するものである.代表作ROKUROやセンサ連動型作品の教材化など,技術と表現を融合した具体的な事例を紹介し,それらがどのように学習時のブラックボックス化を回避し,体験的な理解を可能にしているかを示した.創造的な思考と技術的な理解を同時に育成するための有効な手掛かりとなり,今後の教育におけるメディアアートの展望を提示する.

小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――   小学生から大学院生までのSTEM教育 ――研究視点から―― STEM Education for Elementary through Graduate Students:From a Research Perspective

小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――
 
小学生から大学院生までのSTEM教育 ――研究視点から――
STEM Education for Elementary through Graduate Students:From a Research Perspective

p.857
峯 恒憲

本稿では,筆者が行ってきた小学生から大学院生に至るまでのSTEM教育に関連する実践経験,特に高校生に対しての研究指導内容や,九州大学の大学生や大学院生に対してのSTEM教育活動について紹介しながら,それらを研究活動の視点から考察する.

小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――   STEM教育を支えるA STEM Which Is Supported by ART

小特集 STEAM教育の力 ――教育における創造性,コラボレーション,イノベーション――
 
STEM教育を支えるA
STEM Which Is Supported by ART

p.852
三小田 博昭

文理融合教育や教科横断教育が中等教育(特に高等学校)の現場でも少しずつではあるが着実に導入されつつある.また,次期学習指導要領に向けてのSTEAM議論も文部科学省や中央教育審議会はじめ各分野で活発化してきている.名古屋大学教育学部附属(名大附属)中・高等学校では,STEAMを横並びで捉えるのではなく,STEM+A=STEAMと捉え,ARTの力(芸術,文化,生活,経済,法律,政治,倫理などを含めた広い範囲)がSTEM教育全般を下支えする基礎力だと考え,「A」に注目した教育実践を多様なステークホルダーと連携しながら試行錯誤を繰り返している.

小特集 生成AIの光と影――安全な活用と未来への展望――   生成AIによる偽・誤情報の影響と対策 The Impact of AI-generated Mis-/dis-information and Measures to Address It

小特集 生成AIの光と影――安全な活用と未来への展望――
 
生成AIによる偽・誤情報の影響と対策
The Impact of AI-generated Mis-/dis-information and Measures to Address It

p.792
古田大輔

生成AIの急速な発展により,偽情報の無尽蔵な作成が可能になった.社会に与え得る影響は深刻だ.本稿では,世界的な「選挙イヤー」と呼ばれた2024年の各国における偽情報の実態,生成AIによる影響,そして,ファクトチェック団体を中心とした対策とその結果を紹介する.2025年1月には第二次トランプ政権が誕生し,コンテンツ規制の議論は大きく後退した.その影響と必要とされる対策についても述べる.

小特集 宇宙で使っても壊れないハードウェア開発の最前線   4. 超小形衛星搭載に向けた耐放射線無線機 Radiation-hardened Wireless Transceivers for Small Satellite

小特集 宇宙で使っても壊れないハードウェア開発の最前線
 
4. 超小形衛星搭載に向けた耐放射線無線機
Radiation-hardened Wireless Transceivers for Small Satellite

p.523
白根篤史 岡田健一 戸村 崇 坂本 啓

本稿では,超小形衛星に搭載可能な耐放射線フェイズドアレー無線機の開発について紹介する.近年,スマートフォンと直接通信できるような衛星通信サービスが展開され始めているが,誰もが利用できるようにするためには,大面積アンテナの実装と同時に,衛星の飛躍的な小形軽量化が必要であり,その鍵となるのが耐放射線無線機である.本稿では,CMOS 65nmプロセスを採用し,耐放射線設計を施した無線ICを開発し,磁界結合方式移相器の採用や放射線センサによるTID補償を導入した.作製した耐放射線無線機は,Kaバンドにおいて±50°のビーム走査及び8Gbit/sの通信速度を達成しながら,3Mradを超える放射線照射試験においても安定した通信性能を維持することを確認した.

小特集 宇宙で使っても壊れないハードウェア開発の最前線   1. 宇宙用部品に求められる信頼性と宇宙用MPUの開発 Requirements for Electronic Components in Space Applications and Development of High Reliability MPU

小特集 宇宙で使っても壊れないハードウェア開発の最前線
 
1. 宇宙用部品に求められる信頼性と宇宙用MPUの開発
Requirements for Electronic Components in Space Applications and Development of High Reliability MPU

p.500
土屋佑太 根本規生 廣瀬和之

地球周回衛星を利用した高速通信網や合成開口レーダ衛星に代表されるような高精度地球観測の需要が高まるに従い,宇宙機に搭載される電子部品に対しては更なる高性能・高機能化が求められている.一方,厳しい宇宙環境でも“壊れない”信頼性の確保は欠かせない状況が続いている.本稿では,中核となるディジタル計算機部品の宇宙環境下で求められる信頼性について述べるとともに,我々が開発した「高性能・高機能」と「高信頼性」を両立した宇宙用MPU:SOISOC4について紹介する.

特集 未来を創る情報通信エンジニアリング   特集編集にあたって Editorial Preface

特集 未来を創る情報通信エンジニアリング
 
特集編集にあたって
Editorial Preface

p.381
編集チームリーダー 森川博之

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備   5. 介護現場の生産性向上に向けた介護ロボット等の開発・実証・普及広報のプラットフォーム事業 Platform for Development, Demonstration, Dissemination and Public Relations of Nursing Care Robots to Improve Productivity in Nursing Care Sites

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備
 
5. 介護現場の生産性向上に向けた介護ロボット等の開発・実証・普及広報のプラットフォーム事業
Platform for Development, Demonstration, Dissemination and Public Relations of Nursing Care Robots to Improve Productivity in Nursing Care Sites

p.324
足立圭司 太刀川 遼 平良未来 永田拓磨

厚生労働省が実施する「介護現場の生産性向上に向けた介護ロボット等の開発・実証・普及広報のプラットフォーム事業」では,地域における介護ロボットの開発から活用までの相談窓口を設置するとともに,介護ロボットの製品化にあたっての評価・効果検証を実施するリビングラボのネットワークが形成されている.また,介護現場における課題(ニーズ)と,介護ロボット開発に携わる企業や要素技術を有する企業(シーズ)とのマッチングを支援する,ニーズ・シーズマッチング支援事業が実施されている.

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備   4. ロボット介護機器の評価環境の整備について Developing Guidelines for Clinical Evaluations on Robotic Devices for Nursing Care

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備
 
4. ロボット介護機器の評価環境の整備について
Developing Guidelines for Clinical Evaluations on Robotic Devices for Nursing Care

p.318
梶谷 勇

本稿では,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)事業で実施するロボット介護機器の評価に関する環境整備事業を中心に,開発事業者が介護現場に評価を依頼する際に参考にするガイダンスの作成プロセスとして,対象読者や全体コンセプトの設定,ガイダンスのビジュアルデザインや構成などの決定プロセスなどについて述べる.更にガイダンスの第一版,第二版の概略と,それらの内容を補足する解説編の内容の概略についても紹介する.

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備   2. ロボット介護機器の開発支援を目的とした安全ガイドの作成及びJIS規格の策定 Development of Safety Guidelines and JIS Standards for Supporting the Development of Robotic Care Devices

小特集 ロボット介護機器の展開に向けた環境整備
 
2. ロボット介護機器の開発支援を目的とした安全ガイドの作成及びJIS規格の策定
Development of Safety Guidelines and JIS Standards for Supporting the Development of Robotic Care Devices

p.305
秋山靖博 梶谷 勇 本間敬子 藤原清司 勝田智也 松本光司 板東哲郎 三浦敏道

ロボット介護機器の利用により介護現場の負担軽減が期待される.そのためロボット介護機器開発・普及の支援が多くなされた.しかし,介護現場及び一般家庭を対象とするロボット介護機器開発に際しては安全面の課題が産業現場と異なり,新規参入の障害となっている.そのため,安全評価を対象とした平易な手引書の公表により開発促進を試みる.また,ロボット介護機器重点分野のうちの3分野を対象としたJIS規格を策定することで市場における機器の安全水準を担保し,安全性懸念の払拭による普及促進を図る.本稿では,ロボット介護機器開発事業者向けの安全ガイド及びJIS規格の策定について紹介する.