小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――
1. 良い倫理的意思決定のための倫理綱領
――研究・イノベーションと倫理――
Code of Ethics for Better Ethical Decision Making:Research, Innovation, and Ethics
大谷卓史 大澤博隆 壁谷彰慶 川口嘉奈子 川口由起子 神崎宣次 久木田水生 杉本俊介
より良い意思決定のため倫理綱領を生かすには
専門職団体の倫理綱領は,その団体成員が重視する価値を社会に宣言し,その専門知を善用することを約束する働きがある.その一方で,成員の専門職としてのアイデンティティの形成や倫理的意思決定(倫理的判断)の支援も期待されている.本稿においては,倫理的判断を支援する倫理ガイドラインを参照し,倫理的判断の基本的枠組み及び,複数の価値の対立があった場合の問題などを解説し,研究・イノベーションの各場面で科学者・エンジニアが良い倫理的判断を行うため,倫理綱領をどのように活用すべきか考察する.