小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
制度設計者側の視点
4. 授業目的公衆送信補償金制度
──概要と今後の展開──
Compensation System for the Transmission of Copyrighted Materials in the Course of Classes : Outline and Future Development
p.893
竹内比呂也
オンライン教育を後押しする著作権法
授業目的公衆送信補償金制度は,平成30年5月の著作権法の改正を受けて創設され,COVID-19パンデミック下でのオンライン授業に対応するため令和2年4月に緊急的かつ特例的にスタートした.この制度は,教育を目的とする著作物の公衆送信について,教育機関の設置者が補償金を支払う代わりに,新たに権利制限とするというものである.本稿では,制度創設の背景,議論の経緯,運用指針の内容,補償金の考え方について概説するとともに,今後の教育における著作物利用環境の整備に向けて取り組むべきことについて私見を述べる.