小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――  2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──   2-4 仮想化技術を用いたネットワーク演習環境 Hands-on Laboratories for Network Administration Exercises Based on Virtual Machine Technology

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
 2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──
 
2-4 仮想化技術を用いたネットワーク演習環境
Hands-on Laboratories for Network Administration Exercises Based on Virtual Machine Technology

p.872
立岩佑一郎 井口信和

実機環境で生じる課題からの解放
 仮想化技術を用いたネットワーク演習について解説する.実機に比べて仮想マシンを使うことには,演習環境構築の柔軟性,環境の信頼性,及び評価の容易さなどにアドバンテージがあり,授業の運営において金銭的・時間的・人的なリソースが限定される場合においても有効である.本稿では,演習環境の設計,運用事例,及び将来への展開を概説する.

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――  3. 利用者側の視点──コンピュータを用いた学習支援技術の活用──   3-2 教育環境におけるデータを活用した学習コミュニティ分析手法 Examples of Analysis on Learning Community Using Data from Online and Off-line Learning Environments

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
 3. 利用者側の視点──コンピュータを用いた学習支援技術の活用──
 
3-2 教育環境におけるデータを活用した学習コミュニティ分析手法
Examples of Analysis on Learning Community Using Data from Online and Off-line Learning Environments

p.884
多川孝央

学習データから分かる学習者の間のつながり
 学習を支援するという立場からは,ある学習者の学習の成否のみでなく,学習者が周囲の環境や他の学習者とどのように関わり学習を進めるのかというプロセスも重要なものとなる.ここでは学習者の集団(コミュニティ)内部での学習者間の関係性やコミュニケーションなどを学習支援環境(LMSやSNSなど)の履歴情報や実環境におけるセンサデータなどを用いることにより観察し分析する方法について,そのような情報に基づく学習支援に関心を持つ教育担当者を対象として事例の紹介を行う.

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――  制度設計者側の視点   4. 授業目的公衆送信補償金制度  ──概要と今後の展開── Compensation System for the Transmission of Copyrighted Materials in the Course of Classes : Outline and Future Development

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
 制度設計者側の視点
 
4. 授業目的公衆送信補償金制度
 ──概要と今後の展開──
Compensation System for the Transmission of Copyrighted Materials in the Course of Classes : Outline and Future Development

p.893
竹内比呂也

オンライン教育を後押しする著作権法
 授業目的公衆送信補償金制度は,平成30年5月の著作権法の改正を受けて創設され,COVID-19パンデミック下でのオンライン授業に対応するため令和2年4月に緊急的かつ特例的にスタートした.この制度は,教育を目的とする著作物の公衆送信について,教育機関の設置者が補償金を支払う代わりに,新たに権利制限とするというものである.本稿では,制度創設の背景,議論の経緯,運用指針の内容,補償金の考え方について概説するとともに,今後の教育における著作物利用環境の整備に向けて取り組むべきことについて私見を述べる.

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――     総論   1. 新型コロナウイルス禍が可視化したオンライン講義の限界と可能性 Reflections on Limitations and Future of Online Education at University That COVID-19 Revealed

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
    総論
 
1. 新型コロナウイルス禍が可視化したオンライン講義の限界と可能性
Reflections on Limitations and Future of Online Education at University That COVID-19 Revealed

p.850
鈴木 栄幸

「人文」と「工学」の交差点
 コロナ禍により否応なくオンライン講義が大学に導入されて約1年が経過した.この特殊な状況により,教員も学生も今まで自明視していた大学教育を失った.それを再編成しようとする努力の中で,これまで意識してこなかった大学教育,そして大学教育におけるICT利用に関わる問題が可視化された.本稿では,この1年の私自身の経験を一人の教育実践者として振り返ることにより,大学におけるオンライン講義の可能性と限界,そこから明らかになった研究課題について述べる.

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――  2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──   2-1 LMS 20年の歴史と展望  ──京都大学でのフルオンライン授業対応を踏まえて── 20 Years of LMS History and Challenges : Based on Experiences for Full Online Classes

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
 2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──
 
2-1 LMS 20年の歴史と展望
 ──京都大学でのフルオンライン授業対応を踏まえて──
20 Years of LMS History and Challenges : Based on Experiences for Full Online Classes

p.855
梶田 将司

活躍するオンライン学習,「活用」は道半ば
 教育学習活動へのWeb技術活用の模索から始まったLearning Management System(LMS)は,2000年代に入り北米の大学を中心に広く普及し,大学におけるミッションクリティカルな基盤システムとして位置付けられた.北米の大学の状況と比べて15年以上の遅れがあったものの,我が国においてもLMSの普及が進む中で,コロナ感染症対策に伴うフルオンライン授業対応の要としてLMSの役割が劇的に変化した結果,ようやく世界に追いつきつつある.本稿では,京都大学におけるフルオンライン授業への対応を踏まえながら,LMSの20年にわたる歴史とその展望について述べる.

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術 ――大学教育現場へのICT技術の活用――  2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──   2-3 学習者主体型教育を実現する学習分析基盤 Learning Analytics Foundation for Learner-centered Education

小特集 コンピュータを用いた学習支援技術
――大学教育現場へのICT技術の活用――
 2. 開発者側の視点──コンピュータを用いた学習支援環境の整備──
 
2-3 学習者主体型教育を実現する学習分析基盤
Learning Analytics Foundation for Learner-centered Education

p.867
島田敬士

自分で学びを振り返る,皆と学びを深める
 近年,教育の情報化が進み,様々なディジタル学習環境を活用した教育・学習が行われるようになってきている.ディジタル学習環境では,学習者のシステムの利用状況や,レポートやテストなどの学習成果などを収集することができるだけでなく,システムに蓄積されるデータを分析することで,各学習者に適した学習改善のための介入などを行うことが可能になる.本稿では教育の情報化が進んでいる大学の教育環境において,学習者主体型教育の環境の実現に向けた学習分析基盤について概説し,実際の取組み事例についても紹介する.なお,本稿はディジタル学習環境を活用する教師や学生に広く読んでもらえると幸いである.