鈴木左文
光と電磁波の境界は何をもたらすのか?
従来,テラヘルツ(THz)技術は主にフェムト秒パルスレーザを用いたTHz時間領域分光法やTHzパラメトリック発生装置などによって開拓されてきたが,近年の革新的な半導体技術の進展により真にコンパクトな光源が実現されつつあり,より現実的なTHz応用に向け現在新しい展開を見せてきている.そこで,本稿では他の技術では難しいTHz帯の特徴を生かした応用に触れるとともに,光源に主眼を置いてコンパクトTHzデバイスの進展状況について報告する.
光と電磁波の境界は何をもたらすのか?
従来,テラヘルツ(THz)技術は主にフェムト秒パルスレーザを用いたTHz時間領域分光法やTHzパラメトリック発生装置などによって開拓されてきたが,近年の革新的な半導体技術の進展により真にコンパクトな光源が実現されつつあり,より現実的なTHz応用に向け現在新しい展開を見せてきている.そこで,本稿では他の技術では難しいTHz帯の特徴を生かした応用に触れるとともに,光源に主眼を置いてコンパクトTHzデバイスの進展状況について報告する.
光に迫る! 超高速無線技術のフロンティア
超高周波を用いるテラヘルツ帯通信には高周波性能の勝る化合物半導体がこれまで研究で用いられてきた.一方で,275GHzを超える未割当の周波数帯が今後通信に利用できる期待から300GHz帯と呼ばれる周波数を用いるテラヘルツ通信が注目を集めている.この300GHz帯において,シリコンゲルマニウムトランジスタを用いるBiCMOS集積回路と微細化の進むCMOS集積回路を用いた無線通信回路の研究が増えてきた.本稿では,この2種類の量産に優れるシリコン集積回路を用いたテラヘルツ通信技術の概要を説明し,その応用と将来を議論する.
真空管技術のリバイバル
ミリ波帯と赤外線領域の中間領域に位置するテラヘルツ波帯には,「テラヘルツギャップ」と呼ばれる有用な通信用増幅デバイスがない周波数帯が存在し,電力発生・増幅技術の開発が重要な課題の一つである.このテラヘルツ波帯では,マイクロ波帯からミリ波帯において使われている進行波管が高出力な増幅器を実現するための増幅デバイスの候補として期待されている.この進行波管の動作周波数を高めるためには増幅素子(遅波回路)の微細化が必要となる.本稿では進行波管の遅波回路をマイクロマシン技術を使って微細化した300GHz帯進行波管及び可搬形電力モジュールの開発状況を含めて報告する.