小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   シリコン電子スピン型量子コンピュータ開発 Development of Silicon-based Electron Spin Quantum Computer

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
シリコン電子スピン型量子コンピュータ開発
Development of Silicon-based Electron Spin Quantum Computer

p.846
菅野 雄介

近年,IBM,Googleによる超伝導型量子コンピュータの開発により,量子コンピュータへの関心が高まっている.量子コンピュータは,古典的な“0”,“1”の情報のみならず,それらの重ね合わせの状態の情報をも一つの量子ビットで表現できる能力を有しており,社会問題解決の効率的なソリューション実現への期待が高まっている.本稿では,量子コンピュータの概説とともに,現在開発推進中のシリコン大規模量子コンピュータの実現に期待の高まるシリコン電子スピン型量子コンピュータの開発,特に,極低温量子ビット制御方式の開発について述べる.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   量子技術に着想を得たCMOSアニーリングの概要と量子/CMOSアニーリングの普及に向けた取組み Overview of CMOS Annealing Inspired by Quantum Technology and Efforts towards the Popularization of Quantum/CMOS Annealing

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
量子技術に着想を得たCMOSアニーリングの概要と量子/CMOSアニーリングの普及に向けた取組み
Overview of CMOS Annealing Inspired by Quantum Technology and Efforts towards the Popularization of Quantum/CMOS Annealing

p.854
山岡雅直 山本佳生 真下まゆ美

社会課題の解決には様々な最適化問題を解く必要がある.組合せ最適化問題を高速に解くと期待されているのが新しいコンピューティング技術であるアニーリングマシンである.CMOSアニーリングはその一つであり,本稿ではその概要を説明する.また,新しいコンピューティング技術を普及させるために,Annealing Cloud Webという初学者向けのWebサイトを運営する取組みがあるため,それについても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   線形方程式のための量子アルゴリズムについて Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
線形方程式のための量子アルゴリズムについて
Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

p.859
髙比良宗一

線形方程式は科学や工学,情報科学などの多くの分野で現れる.2009年に提案されたHarrow-Hassidim-Lloyd(HHL)アルゴリズムは,誤り耐性量子コンピュータで線形方程式を扱うための量子アルゴリズムである.この量子アルゴリズムは,係数行列や右辺ベクトルに関するあるアクセスモデルの下で,解に対応する量子状態を,行列のサイズに関して対数の計算量で計算する.数値解を求めてはいないものの,その高速さから提案以降注目を集め,数値線形代数や機械学習に関する多くの量子アルゴリズムの提案につながった.本稿では,ブレークスルーを起こしたHHLアルゴリズムについて,実装例とともに紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について
On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

p.866
岡崎秀晃

本稿では,連続関数は区分的線形関数によって,任意の精度で包囲できることから,非同次の区分線形微分方程式の解を用いて,一般の非線形微分方程式の解を任意の精度で包囲して求められることに注目し,量子コンピューティングによる時間に依存しない非同次線形微分方程式の解法について議論する.線形微分方程式の行列が実・共役複索数の固有値を持つ場合に実・共役複索数の固有値,実・共役複索数の固有値ベクトルを用いた解法と量子コンピューティングのための区分線形関数の近似方法についても紹介する.