特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 2. ハードウェア技術   2-1 コンピュータハードウェアの歴史と技術動向 History of Computer Architectures and Trends of Its Technologies

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
2. ハードウェア技術
 
2-1 コンピュータハードウェアの歴史と技術動向
History of Computer Architectures and Trends of Its Technologies

p.468
片桐孝洋

AI時代につながる計算機アーキテクチャの軌跡
 昨今のAI技術の進展は,コンピュータハードウェアの関連技術の発展と密接に関係している.本稿では,現在普及しているコンピュータにおける演算の高速化に興味がある読者に対し,コンピュータの歴史を示すとともに,AIに必要な演算の観点から,コンピュータハードウェアの技術動向について俯瞰的に述べる.基盤技術開発時の技術と最新技術の双方を示すことで,コンピュータハードウェアの側面から見た演算性能の高速化の技術進展を解説する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-1 大規模深層学習のGPUへの実装技術 Design and Implementation of Deep Learning on GPU for Large Scale Neural Networks

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-1 大規模深層学習のGPUへの実装技術
Design and Implementation of Deep Learning on GPU for Large Scale Neural Networks

p.495
根岸 康 今井晴基 Tung D. LE 河内谷清久仁

学習フェーズの大幅な時間短縮を目指して
 深層学習(ディープラーニング)用システムでは,学習時間の短縮のためにGPU(Graphics Processing Unit)を使用することが多い.本稿では,最初に深層学習システムに要求される演算とその実装について解説し,次にGPUへの実装にあたっての技術課題とそれを克服するための実装技術について説明する.更に筆者らが主に取り組んでいるGPUメモリより大きい深層学習モデルをGPU上で実行するための大規模深層学習技術について,その必要性,実装方針,技術課題や実装技術について説明する.最後にMRIによる高解像度医療画像の大規模深層学習技術による解析事例について紹介する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-3 FPGAによる自己組織化マップのハードウェア化 ──打音検査システムへの適用に向けて── Hardware Implementation of Self-organizing Map Using FPGA and Its Application to Impact-echo Testing

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-3 FPGAによる自己組織化マップのハードウェア化
──打音検査システムへの適用に向けて──
Hardware Implementation of Self-organizing Map Using FPGA and Its Application to Impact-echo Testing

p.507
安永守利

自己組織化マップの高速化と適用事例
 自己組織化マップ(SOM : Self-Organizing Map)は,ディープラーニングニューラルネットワーク(DLNN)と同様に,脳の神経回路網をモデルとするAIの手法である.SOMは,「教師なし学習」「学習結果の可視化」といったDLNNにはない特徴を有する.また,SOMもDLNNと同様,学習に多くの計算時間を必要とする.本稿では,はじめにSOMの基礎事項を解説する.そして,FPGAによるSOM専用ハードウェアの一例を示し,そのコンクリート打音検査装置への適用結果と有効性を示す.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-6 ベクトルプロセッサを用いたAI処理の高速化 High Performance Implementation of AI Processing with Vector Processor

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-6 ベクトルプロセッサを用いたAI処理の高速化
High Performance Implementation of AI Processing with Vector Processor

p.529
荒木拓也 大野善之 石坂一久

機械学習を高速化するフレームワークの実装・評価の事例紹介
 NECは1980年代からベクトル形コンピュータの提供を行っている.従来は大形モデルのみでありスーパコンピュータとしての用途が中心であったが,最新のSX-Aurora TSUBASAからはベクトルプロセッサをPCIeカード上に実装することで,小形モデルからの提供を可能としている.これに伴い,ベクトルプロセッサの新たな応用としてAI処理の高速化を行っている.ベクトルプロセッサが得意とするメモリバンド幅を生かすアルゴリズムのうち,統計的機械学習及び深層学習を対象とし,フレームワークの実装,移植を行った.本稿ではその実装と評価について紹介する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-8 不揮発性メモリを用いたAIチップの実装技術 AI Chip Implementation Technology Using Non-volatile Memory

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-8 不揮発性メモリを用いたAIチップの実装技術
AI Chip Implementation Technology Using Non-volatile Memory

p.543
河野和幸

低消費電力を実現するアナログAIチップとは?
 人工知能(AI)が近年注目されているが,AI処理を行うためのハードウェアの消費電力が大きな課題となっている.この課題を解決するための技術として,ニューロモルフィックコンピューティング,あるいはインメモリコンピューティングと呼ばれる不揮発性メモリを用いた非ノイマン形AIチップが近年注目されている.本稿では不揮発性メモリを用いたAIチップの動作原理と特長,及び筆者らの研究グループが開発した抵抗変化形メモリ(ReRAM)を用いたAIチップの回路実装技術とその性能について述べる.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 1. 近年の人工知能関連技術の動向   1-1 人工知能関連技術の歴史と技術動向 History and Trend of Artificial Intelligence Technologies

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
1. 近年の人工知能関連技術の動向
 
1-1 人工知能関連技術の歴史と技術動向
History and Trend of Artificial Intelligence Technologies

p.450
松尾 豊

深層学習関連技術は今後どのように進展する?
 本稿では,人工知能を取り巻く状況,特に深層学習について焦点を当てて解説する.人工知能は60年以上の歴史を持つ分野であり,その流れと従来の課題について述べる.そして深層学習によりこの流れがどのように変わったかについて説明する.深層学習の現在の研究として行われているCNNやRNN,理論,計算のためのフレームワーク等について述べる.更に,今後の研究の進展として,深層強化学習,世界モデル,そして,知覚情報の言語との融合等について述べる.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 1. 近年の人工知能関連技術の動向   1-2 画像認識技術の動向 A Recent Trend on Image Understanding Technologies

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
1. 近年の人工知能関連技術の動向
 
1-2 画像認識技術の動向
A Recent Trend on Image Understanding Technologies

p.456
佐藤真一

ここまで来た画像認識技術!
 画像認識は,監視カメラの自動監視,自動運転,医用分野での自動診断等での応用が期待されており,近年特に深層学習の進展によりその実用化が急速に進んでいる.本稿では,この画像認識の近年の急速な進展について,画像認識に対するれい明期の試み,機械学習に基づく画像認識による突破口の発見,最近の深層学習による画像認識のブレークスルーを通して概観する.どのようなことができるようになったのか,まだできないことは何か,等についても述べたい.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 1. 近年の人工知能関連技術の動向   1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向 Technical Trends of Data Analytics on Data-driven Approaches

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
1. 近年の人工知能関連技術の動向
 
1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向
Technical Trends of Data Analytics on Data-driven Approaches

p.461
後藤正幸

ビッグデータを価値につなげるAIと“見える化”分析
 近年,様々な場面でAI技術を活用したデータ分析の活用が進められている.従来の統計分析では仮説駆動形のアプローチが主流であり,設定した仮説を検証するためにデータが収集されていた.これに対し,近年ではセンシングやIoT(Internet of Things)などの情報技術の発展に伴って,人々の活動の記録として多様なデータが生成され,蓄積されるようになっている.このようなリッチなデータを活用したデータ駆動形アプローチが注目されるようになり,AI技術を駆使した様々なデータ分析技術が活用されるに至っている.本稿では,主にビジネスデータ分析におけるAI活用の技術動向について解説する.