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吉岡克成
IoT 時代の新たな脅威に立ち向かう
ネットワークを通じて様々な‘もの’が接続し,それらから得られる情報が新たな価値を生み出す新しい情報社会の形としてIoT(Internet of Things)という概念が注目されている.一方,これまでのインターネットの発展とそれに伴うサイバー攻撃の増大の歴史が示すとおり,高い価値の創出は,それを奪取したり,操作したり,破壊しようとする不正な試みを誘引する.本稿では,IoTの発展がもたらすセキュリティ上の脅威と,このような脅威に対してネットワークセキュリティ技術が果たすべき役割とは何かを考察する.まず,これまでに発生しているインシデントの事例や先端研究により明らかとなったぜい弱性について解説するとともに,今後発生し得る脅威について考察する.更に,これらの事例等から今後ネットワークセキュリティ技術に求められる役割について考える.