特集 量子機械学習
8. 量子機械学習におけるデータロード,回路設計,そして観測
Data Loading, Circuit Optimization and Measurement in Quantum Machine Learning
p.1189
山本直樹 レイモンド ルディー
機械学習を量子計算機で実行するための基本タスクを紹介
誤り耐性を有する理想的な量子計算機は,重ね合わせの原理などの量子力学の性質を利用することで,従来形計算機より少ないリソースで特定の計算タスクを実行する.しかし,現在を含め当分の間は,誤り耐性を持たない量子計算機のみが利用可能である.このような限定された状況で何ができるかについて,変分量子回路法をはじめとし,近年盛んに研究がなされている.機械学習もそのターゲットの一つである.特に機械学習では,データをいかに効率的に量子計算機に読み込ませるか(ロードするか),ロードしたデータをいかに効率良く量子回路で計算するか(量子回路設計),そして計算結果をいかに取り出すか(観測の最適化)が,量子計算機の優位性を保証するための鍵となる.本稿では,この三つの問題を軸に,筆者らの最近の研究を幾つか紹介する.