小特集 「今,だからこそ!」電子工作のすすめ――未来の技術者を育てる電子工作ブームを再び――
Special Section:“Now, It’s the Time!” for Encouraging Electronics DIY――Reactivating Electronics DIY Boom to Develop Engineers for Future――
3-5 “作ってみた”は正義
――技術系展示会「NT金沢」の運営を通して――
“Tried to Make It” is Correct: Based on Managing Technical Exhibition “NT Kanazawa”
p.314
秋田純一
「作ってみた」が持つ,車輪の再発明以上の意味とは?
本稿では,2013年から金沢で開催している技術系の展示会「NT金沢」について述べる.NT金沢は,電子工作を含めた,広く「自分で作ったもの」を持ち寄って展示し,それについて様々な人たちが「交流」する場である.技術に興味がある人だけでなく,たまたま通り掛かった人が立ち寄るなどの意図しない出会いが多いのも大きな特徴である.展示される作品は,一見すると「遊び」に見えるものも多いが,根底には「科学技術を楽しむ」という思想があり,それが広く「ものづくり」の裾野を広げ,発展させる効果があると思われる.本稿では,NT金沢の概要と歴史,NT金沢を開催運営する上で留意している点,及びNT金沢を通して得られた知見について述べ,そこから電子情報通信の技術者に求められる役割について考察する.