住田孝之
新時代のイノベーション実現に何が必要か
新時代のイノベーション実現に何が必要か
誰もが使える5Gの普及を目指して
第5世代移動通信システム(5G)では,High Data Rate実現のため,ミリ波の利用が積極的に検討されている.ミリ波帯ではマイクロ波帯と比べると配線やアンテナの損失が非常に大きくなるため,損失の低い基板選定,配線の短い構造(パッケージング技術)の2点が重要となる.基板選定に関しては,誘電損はもちろんであるが,表皮効果を加味した導体損が重要となる.パッケージング技術に関しては,アンテナとRF ICの配線距離を短くして損失を低くする構造が必要となる.今後の5G NR(New Radio)の普及を考慮すると,コスト,量産性を加味した基板選定,パッケージング技術が重要となる.本稿ではこの二つに着目して技術紹介を行う.
狙い撃ち! ミリ波のビームを思いのままに
第5世代移動通信システム(5G)では,広い信号帯域幅を確保できるミリ波帯を活用して,現行4Gに比べ10倍以上の10Gbit/sを超える高速通信の実現を目指している.ミリ波の欠点である電波の減衰や直進性を補って,安定した通信を実現するには,数百のアンテナ素子で構成されるフェーズドアレーアンテナを用いた高精度なビームフォーミングが有効である.5Gを広く社会に普及させるためには,これを小形・省電力・低コストに装置に実装する必要があり,集積回路技術が極めて重要になる.本稿では,5G向けミリ波ビームフォーミング集積回路技術の現状と今後の展望について述べる.
高信頼・低遅延通信が生み出す未来の交通社会
5Gは,従来からの大容量通信に加えて新たに高信頼・低遅延通信の実現を目指している.また,自動運転技術は,センサ技術,AIによる画像認識技術などにより実現が近づいてきた.しかしながら,完全自動運転の実現にはまだ技術的難易度が高いと言われている.近年,自動車の制御技術に通信を応用する検討も行われ,車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)に通信機能を付加した協調型ACCなどで成果を上げている.本稿では,5Gの提供する大容量低遅延の通信能力が,どのように自動運転技術に活用できるかを解説する.
適用シナリオとその技術的要求
第5世代移動通信システム(5G)では高度化モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced Mobile Broadband),大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive Machine Type Communications),超信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)など様々な適用シナリオのサポートを目指している.本稿では,3GPP(3rd Generation Partnership Project)で検討されている5Gの標準化動向について概説する.
新しい価値を創生するこれからの情報通信
40年近い歴史を持つセルラ方式移動通信は10年ごとに大きな飛躍を遂げながら誰もが予想できなかった驚異的な発展を遂げてきた.2020年頃の商用化を目指す第5世代移動通信(5G)は,通信業界にとどまらず広範な異業種との連携・融合を目指しており,来るべき社会を先導するインフラを提供し,社会をこれまで以上に大きく変革する可能性を秘めている.本稿では,5Gとは一体どのようなネットワークなのか,その早期実現に向けた今後の課題は何か,最近の世界的な動向を踏まえつつ概説する.
地場産業へのICT 導入による活性化と新たな地域連携の提案
塩尻市におけるスマートシティプロジェクトの概要とその効果