渡辺好章
巨大なデータベースに依存しない深い思考術のために
巨大なデータベースに依存しない深い思考術のために
研究活動と密接に関わるデザイン的思考
複雑な計算をより簡単に
金属フォトニック結晶構造は誘電体フォトニック結晶よりバンドギャップが広く,閉込めが強いという利点を有するため,テラヘルツ帯の小形電磁波回路への応用が脚光を浴びている.本稿では,テラヘルツ帯金属フォトニック結晶構造をシミュレーションする際の留意点を検討するとともに,線欠陥直角曲がり導波路,点欠陥共振器,フィルタなどの設計事例について紹介する.
電磁界シミュレータをもっと知って活用しよう
現在では電磁界シミュレータは設計に必要不可欠なものとなっている.ハードウェアの向上及び解析アルゴリズムの改善で電磁界シミュレータは便利な道具となったが,分野外の人にとっては簡単には使いこなすことが困難な場合が多いのではないだろうか.本稿では,電磁界シミュレータを使いこなすために必要な知識と技術について解説する.計算コストの見積もり,電磁界シミュレータの目的と解析の種類(時間領域/周波数領域,励振問題/固有値問題,励振の種類),電磁界解析法の種類,規範問題の有用性,電磁界シミュレーションの勘所について説明する.
最新のシミュレータ技術と未来
本稿では,電磁界シミュレーションを例にとりながら,エレクトロニクス分野で用いられるシミュレーション技術の今日までの発展とシミュレーションが果たしてきた役割について記述し,最近のシミュレーション技術の研究に関する話題を幾つか紹介する.数値シミュレーションは,コンピュータの飛躍的発展に伴い,大規模で精度の良い計算が実行できるようになり,もの作りの便利でかつ必須の道具となった.一方で,次のパラダイムに向けてシミュレーション技術の更なる進化が望まれる.
IoT 時代の新たな脅威に立ち向かう
ネットワークを通じて様々な‘もの’が接続し,それらから得られる情報が新たな価値を生み出す新しい情報社会の形としてIoT(Internet of Things)という概念が注目されている.一方,これまでのインターネットの発展とそれに伴うサイバー攻撃の増大の歴史が示すとおり,高い価値の創出は,それを奪取したり,操作したり,破壊しようとする不正な試みを誘引する.本稿では,IoTの発展がもたらすセキュリティ上の脅威と,このような脅威に対してネットワークセキュリティ技術が果たすべき役割とは何かを考察する.まず,これまでに発生しているインシデントの事例や先端研究により明らかとなったぜい弱性について解説するとともに,今後発生し得る脅威について考察する.更に,これらの事例等から今後ネットワークセキュリティ技術に求められる役割について考える.
レストラン~物流倉庫のサービス現場を「ラボ化」で改善
「現場のラボ化」は,行動センシングや作業プロセス分析を用いた仮説・検証をできるだけ厳密に繰り返し行うといった従来はラボでしかできなかった方法論を,実際の現場に持ち込もうとするものである.本稿では,行動センシング技術として近年注目が集まっているPDR(Pedestrian Dead Reckoning)やハイブリッド測位技術と,それらのサービス・製造プロセス分析への応用について紹介する.
基地局の空間配置を確率的に表現・分析するための新たなアプローチ
最近,無線通信ネットワークに対して,無線ノードの位置を空間点過程を用いて表現し,そうして構成された確率モデルを解析して無線ネットワークの設計や性能評価に活かそうという,空間確率モデルの研究が活発に行われています.本稿では,この空間確率モデルについて,セルラネットワークに焦点を当てて概説します.はじめに,基本的な設定のもとでモデルを紹介し,その解析手順を説明します.その後,基本モデルを基にして,現在までにどのような実際の設定を考慮した解析がなされているのかを概観します.