小特集 1. 状態依存形の待ち行列モデルとサービスシステムへの応用 State-dependent Queueing Models and Their Applications to Service Systems
河西憲一
情報通信システムに現れる「待ち行列」の豊かな世界
トラヒック理論を源流とした待ち行列理論は,通信やコンピュータシステムの性能評価を行う際の数理的な基盤として広く用いられてきた.コールセンターやデータセンターは,待ち行列が長くなるほど離脱客が増えるといった状態依存形の待ち行列でモデル化できることが多い.本稿では状態依存形の待ち行列,特に状態依存形の準出生死滅過程でモデル化される待ち行列に焦点を当て,コールセンターやデータセンターの適用事例を通じて,その概略と課題を紹介する.