粟井郁雄
間もなく来るケーブルがなくなる日
ワイヤレス給電システムの開発に6年間従事した間に遭遇した興味深い現象と,今後有用となりそうなシステムの概要を紹介している.これらは,従来余り広く取り上げられなかった水中給電から研究を始めて得た,様々な方向へ展開できるヒントである.ワイヤレス給電は電力工学と通信工学の節点であるだけでなく,多彩な応用先に対応する広い分野との接点でもある.そのため電子情報通信技術者にとって尽きることのない挑戦の場を提供している.
間もなく来るケーブルがなくなる日
ワイヤレス給電システムの開発に6年間従事した間に遭遇した興味深い現象と,今後有用となりそうなシステムの概要を紹介している.これらは,従来余り広く取り上げられなかった水中給電から研究を始めて得た,様々な方向へ展開できるヒントである.ワイヤレス給電は電力工学と通信工学の節点であるだけでなく,多彩な応用先に対応する広い分野との接点でもある.そのため電子情報通信技術者にとって尽きることのない挑戦の場を提供している.
もっと感動する暮らしを創り出す
エレクトロニクスは今後も人々の暮らしに感動を提供する.映像は更に高度化し,VRをはじめとする臨場感拡大技術が,超広帯域ネットワークでつながった人々の共感を加えて感性価値を高めていく.それらの背景にはこの数十年の記録・処理・伝送におけるビット単価の低減と,それにより消費価値が拡大されてきた流れがある.この先も技術革新が様々な制約を解放して新たな事業を創造し続ける.本稿ではエレクトロニクスによる暮らしへの影響の経緯から,今後の社会・文化・芸術・エンタテインメントへの貢献を考察する.
進化し続ける最先端システムは技術革新と表裏一体
コンピュータシステムの高性能化の歩みについて,プロセッサの高周波数化,メモリとのデータ転送の拡大,並列処理の三つの視点で振り返る.コンピュータのアーキテクチャやマイクロプロセッサの発展に対して半導体技術やエレクトロニクスがいかに貢献してきたかを概観する.
増え続ける情報も光の進化でつなげる
現在の光通信を支える光エレクトロニクスとして,レーザ,受光素子,変調器,ファイバ,増幅器などの光デバイスについて初期から最近までの進展を振り返る.また,波長多重,多値変調などの多重化によるネットワークの超大容量化の動きや高度化するネットワークについて概観し,対応する集積化などのデバイス技術について今後の展望を議論する.
物理空間と仮想空間を結ぶIoT社会の鍵
センサは外界の種々の情報を捉える素子で,温度,磁気,光,圧力,加速度等の物理量,そしてガス,イオン,バイオ物質等の化学量を電気や光等の伝達・処理しやすい信号に変換する.センサは,新物質の発見,MEMS三次元構造の作製技術の進歩,集積回路素子との一体化技術の改良,信号処理技術の進化とともに小形化,高機能化,多様化,多次元化,低価格化が図られ,発展してきた.これらの技術的発展と現状について,代表的なセンサを分類して紹介する.
生活を進化させる社会交通システムの発展
自動車を中心とする社会交通システムの発展において,過去から未来に向けてのエレクトロニクスの貢献について概観する.カーエレクトロニクスは,これまで排出ガス浄化・燃費向上から始まり,車単体や社会との連携により移動の安全確保や車内の快適・利便性の向上を支えてきた.
今後は,交通情報システムから社会交通システム全体の進歩にますます貢献してゆくであろう.
誰にでも快適な生活を届けたい
徐々に社会に浸透しつつある生活支援ロボットとして,移動ロボット,パワーアシストロボット,コミュニケーションロボットなどを取り上げ,製品化事例と今後の展開などの紹介や分野ごとのエレクトロニクスに対する期待について述べる.人間生活環境で動作するロボットには,小形軽量モータや大容量バッテリーなど各分野に共通する期待もあるが,今後より高度なサービスを提供するためには,環境認識を支える外界センサやインタフェース技術の高度化,クラウド活用のための通信技術の高速化・最適化,システム全体としての効率化などにも期待したい.