小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   24GHz帯を使用したWPT実現に向けた取組み Initiatives to Realize Beam WPT Using the 24GHz Band

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
24GHz帯を使用したWPT実現に向けた取組み
Initiatives to Realize Beam WPT Using the 24GHz Band

p.1146
関野 昇

空間伝送方式ワイヤレス電力伝送(WPT)システムでは,より大きい電力を伝送させ,他の無線システムへの干渉を低減し共存できる方式が望まれている.24GHz帯の準ミリ波帯を使用したWPTシステムでは,アンテナを小形化できることで,多素子化による大電力化が可能である.一方,伝搬損は大きいことから給電エリア外の無線システムへの干渉電力を低減できる周波数帯と期待される.そのため,大きな電力を比較的近距離への送電に適したものとされ,数ワットクラスの給電も実現することが可能なことから注目されている.この24GHz帯を使用したWPTシステムについては,制度化・実用化に向けて現在進めているところであり,本稿では24GHz帯を使用したWPTシステムの現状や取組みについて紹介する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   無線電力伝送の高度化に向けた取組み Initiatives towards Advancing Wireless Power Transmission

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
無線電力伝送の高度化に向けた取組み
Initiatives towards Advancing Wireless Power Transmission

p.1157
平栗健史 松田崇弘 木村共孝 丸田一輝

空間伝送方式無線電力伝送(Wireless Power Transfer, WPT)は,配線不要で長距離かつ多数の機器への給電が可能であり,IoTセンサなどでの需要が高まっている.本研究では,WPTの高度化を目指し,給電効率と周波数利用効率の向上を図る.主なアプローチとして,メディアアクセス技術の開発,パケットベースの電力伝送手法,端末のグループ化並びにビームフォーミングによる給電手法,通信端末との干渉回避技術を提案し,一部シミュレーションと実験でその有効性を確認している.本稿では,それらの技術について概要を解説する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   小特集編集にあたって Editorial Preface

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
小特集編集にあたって
Editorial Preface

p.1113
編集チームリーダー 丸田一輝

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   空間伝送方式無線電力伝送の動向 Latest Trend of Spatial Transmission Wireless Power Transmission/Transfer Systems

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
空間伝送方式無線電力伝送の動向
Latest Trend of Spatial Transmission Wireless Power Transmission/Transfer Systems

p.1114
藤本卓也

空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムは実用化の期待が高まる中,国内では2022年に省令改正により構内無線局として世界初となる制度化が行われ,制度のステップ1として現在その実用化が進められている.更には,ステップ2として供給電力の増加や使用環境の拡大など,より使いやすいシステムとするための様々な研究開発が行われている.また,グローバルでも,同年ITU-Rにおいて利用周波数のガイドラインが策定され勧告として発行された.本稿では,空間伝送方式ワイヤレス電力伝送技術の最新動向として,我が国での制度化の状況,ITU-Rにおける協調議論の最新の状況,ステップ2に向けた研究開発の最新動向などについて紹介する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   920MHz帯WPTの標準化と技術動向 The Current Regulatory and Technological Status of 920MHz Band WPT

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
920MHz帯WPTの標準化と技術動向
The Current Regulatory and Technological Status of 920MHz Band WPT

p.1122
小舘直人 田中勇気

2022年5月の電波法関連省令改正に伴い,空間伝送方式ワイヤレス給電(Wireless Power Transmission/Transfer,以下WPT)が利用可能となった.中でも920MHz帯WPTは送電出力が比較的に小さいことから人が行き交う環境でも利用でき,既に様々な環境への応用が展開されている.本稿では920MHz帯WPTの技術的特徴について述べ,その応用例と効果,更なる高度化に向けた要素技術について説明する.加えて,電波法及び運用に関するルールについて整理し,国内・国外における標準化動向についても触れる.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦 Challenges for Social Implementation of 2.4GHz/5.7GHz Band WPT System

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦
Challenges for Social Implementation of 2.4GHz/5.7GHz Band WPT System

p.1130
勝永浩史

マイクロ波を用いたWPTシステムは日本において内閣府が提唱するSociety 5.0の進展に大きく寄与する技術であると期待されている.サイバー空間とフィジカル空間をつなぐセンサのデータ収集,カバレージの拡大を実現するための電力供給の切り札として求められている.このような背景の下,2022年5月総務省から電波法施行規則等の一部を改正する省令が施行され,日本でのWPTシステムの実用化が可能となった.本稿では2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTシステムの概要を示すとともに,社会実装に向けた取組みを紹介する.