小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   24GHz帯を使用したWPT実現に向けた取組み Initiatives to Realize Beam WPT Using the 24GHz Band

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
24GHz帯を使用したWPT実現に向けた取組み
Initiatives to Realize Beam WPT Using the 24GHz Band

p.1146
関野 昇

空間伝送方式ワイヤレス電力伝送(WPT)システムでは,より大きい電力を伝送させ,他の無線システムへの干渉を低減し共存できる方式が望まれている.24GHz帯の準ミリ波帯を使用したWPTシステムでは,アンテナを小形化できることで,多素子化による大電力化が可能である.一方,伝搬損は大きいことから給電エリア外の無線システムへの干渉電力を低減できる周波数帯と期待される.そのため,大きな電力を比較的近距離への送電に適したものとされ,数ワットクラスの給電も実現することが可能なことから注目されている.この24GHz帯を使用したWPTシステムについては,制度化・実用化に向けて現在進めているところであり,本稿では24GHz帯を使用したWPTシステムの現状や取組みについて紹介する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦 Challenges for Social Implementation of 2.4GHz/5.7GHz Band WPT System

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦
Challenges for Social Implementation of 2.4GHz/5.7GHz Band WPT System

p.1130
勝永浩史

マイクロ波を用いたWPTシステムは日本において内閣府が提唱するSociety 5.0の進展に大きく寄与する技術であると期待されている.サイバー空間とフィジカル空間をつなぐセンサのデータ収集,カバレージの拡大を実現するための電力供給の切り札として求められている.このような背景の下,2022年5月総務省から電波法施行規則等の一部を改正する省令が施行され,日本でのWPTシステムの実用化が可能となった.本稿では2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTシステムの概要を示すとともに,社会実装に向けた取組みを紹介する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   920MHz帯WPTの標準化と技術動向 The Current Regulatory and Technological Status of 920MHz Band WPT

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
920MHz帯WPTの標準化と技術動向
The Current Regulatory and Technological Status of 920MHz Band WPT

p.1122
小舘直人 田中勇気

2022年5月の電波法関連省令改正に伴い,空間伝送方式ワイヤレス給電(Wireless Power Transmission/Transfer,以下WPT)が利用可能となった.中でも920MHz帯WPTは送電出力が比較的に小さいことから人が行き交う環境でも利用でき,既に様々な環境への応用が展開されている.本稿では920MHz帯WPTの技術的特徴について述べ,その応用例と効果,更なる高度化に向けた要素技術について説明する.加えて,電波法及び運用に関するルールについて整理し,国内・国外における標準化動向についても触れる.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   空間伝送方式無線電力伝送の動向 Latest Trend of Spatial Transmission Wireless Power Transmission/Transfer Systems

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
空間伝送方式無線電力伝送の動向
Latest Trend of Spatial Transmission Wireless Power Transmission/Transfer Systems

p.1114
藤本卓也

空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムは実用化の期待が高まる中,国内では2022年に省令改正により構内無線局として世界初となる制度化が行われ,制度のステップ1として現在その実用化が進められている.更には,ステップ2として供給電力の増加や使用環境の拡大など,より使いやすいシステムとするための様々な研究開発が行われている.また,グローバルでも,同年ITU-Rにおいて利用周波数のガイドラインが策定され勧告として発行された.本稿では,空間伝送方式ワイヤレス電力伝送技術の最新動向として,我が国での制度化の状況,ITU-Rにおける協調議論の最新の状況,ステップ2に向けた研究開発の最新動向などについて紹介する.

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望   小特集編集にあたって Editorial Preface

小特集 実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望
 
小特集編集にあたって
Editorial Preface

p.1113
編集チームリーダー 丸田一輝

特集 モビリティの最新技術と今後の展望 7. モビリティの新展開   7-2 パーソナルインフレータブルモビリティpoimo Personal Inflatable Mobility poimo

特集 モビリティの最新技術と今後の展望
7. モビリティの新展開
 
7-2 パーソナルインフレータブルモビリティpoimo
Personal Inflatable Mobility poimo

p.1075
山村亮介 佐藤宏樹 ソン ヨンア 新山龍馬 亀﨑允啓 川原圭博

近年,都市部を中心とした移動手段の一つとしてパーソナルモビリティが注目されているが,乗り心地,安全性,収納性,カスタマイズ性,操作性などに課題がある.筆者らは,この問題に対し,インフレータブル構造を採用したパーソナルモビリティ「poimo」を開発し,柔軟で持ち運びが容易な乗り物を提供することで,環境負荷を軽減し,誰もが利用しやすいインクルーシブな移動手段を実現しようとしている.本稿ではこれまでのpoimoの研究開発の取組みを紹介するとともにインクルーシブな社会の実現に残された課題を共有する.

特集 モビリティの最新技術と今後の展望 7. モビリティの新展開   7-1 新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン The Vision of the Flying Car, Which Takes You 60 Miles in 30 Min., Enabling the Days of New Norm

特集 モビリティの最新技術と今後の展望
7. モビリティの新展開
 
7-1 新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン
The Vision of the Flying Car, Which Takes You 60 Miles in 30 Min., Enabling the Days of New Norm

p.1069
中井 佑

コロナ禍を通じて普及が加速した移動を不要とするディジタルなライフスタイルは,日常を占める移動のコストを相対的に引き上げた.テトラ・アビエーションでは,大きな社会課題の遠因でもある,自動運転を実現するだけでは削減できない2時間以上の自動車移動の時間的・体力的コストを,現在のタクシーと同程度の価格の下で15分程度に削減しつつ,自由な時間と活力ある日常を創出することを目標に空飛ぶクルマを開発している.世界各国で開発されるeVTOLの持つ価値や市場を紹介しつつ,ルールメイキングの動向を追うことで,空飛ぶクルマのある日常が近づいたことを紹介する.

小特集 3Dキャプチャ技術の進化と展望   4. ディジタルヒューマンのための3D表現 3D Representations for Digital Human Technologies

小特集 3Dキャプチャ技術の進化と展望
 
4. ディジタルヒューマンのための3D表現
3D Representations for Digital Human Technologies

p.943
武富貴史

本稿では,フォトリアルなディジタルヒューマンを実現するための技術について,最近の研究事例を中心に紹介する.特に,3Dでの表現に限定し,人物の表現で最も重要な顔及び全身,手,髪といった体の各部位の表現及び再現について研究事例を紹介する.また,フォトリアルなディジタルヒューマンを実現するために近年では4Dキャプチャ(ボリュメトリックキャプチャ)技術の利用が盛んに行われているため,4Dキャプチャによって得られたデータを利用したディジタルヒューマン技術についても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について
On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

p.866
岡崎秀晃

本稿では,連続関数は区分的線形関数によって,任意の精度で包囲できることから,非同次の区分線形微分方程式の解を用いて,一般の非線形微分方程式の解を任意の精度で包囲して求められることに注目し,量子コンピューティングによる時間に依存しない非同次線形微分方程式の解法について議論する.線形微分方程式の行列が実・共役複索数の固有値を持つ場合に実・共役複索数の固有値,実・共役複索数の固有値ベクトルを用いた解法と量子コンピューティングのための区分線形関数の近似方法についても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   線形方程式のための量子アルゴリズムについて Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
線形方程式のための量子アルゴリズムについて
Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

p.859
髙比良宗一

線形方程式は科学や工学,情報科学などの多くの分野で現れる.2009年に提案されたHarrow-Hassidim-Lloyd(HHL)アルゴリズムは,誤り耐性量子コンピュータで線形方程式を扱うための量子アルゴリズムである.この量子アルゴリズムは,係数行列や右辺ベクトルに関するあるアクセスモデルの下で,解に対応する量子状態を,行列のサイズに関して対数の計算量で計算する.数値解を求めてはいないものの,その高速さから提案以降注目を集め,数値線形代数や機械学習に関する多くの量子アルゴリズムの提案につながった.本稿では,ブレークスルーを起こしたHHLアルゴリズムについて,実装例とともに紹介する.