特集 モビリティの最新技術と今後の展望 7. モビリティの新展開   7-1 新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン The Vision of the Flying Car, Which Takes You 60 Miles in 30 Min., Enabling the Days of New Norm

特集 モビリティの最新技術と今後の展望
7. モビリティの新展開
 
7-1 新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン
The Vision of the Flying Car, Which Takes You 60 Miles in 30 Min., Enabling the Days of New Norm

p.1069
中井 佑

コロナ禍を通じて普及が加速した移動を不要とするディジタルなライフスタイルは,日常を占める移動のコストを相対的に引き上げた.テトラ・アビエーションでは,大きな社会課題の遠因でもある,自動運転を実現するだけでは削減できない2時間以上の自動車移動の時間的・体力的コストを,現在のタクシーと同程度の価格の下で15分程度に削減しつつ,自由な時間と活力ある日常を創出することを目標に空飛ぶクルマを開発している.世界各国で開発されるeVTOLの持つ価値や市場を紹介しつつ,ルールメイキングの動向を追うことで,空飛ぶクルマのある日常が近づいたことを紹介する.

小特集 3Dキャプチャ技術の進化と展望   4. ディジタルヒューマンのための3D表現 3D Representations for Digital Human Technologies

小特集 3Dキャプチャ技術の進化と展望
 
4. ディジタルヒューマンのための3D表現
3D Representations for Digital Human Technologies

p.943
武富貴史

本稿では,フォトリアルなディジタルヒューマンを実現するための技術について,最近の研究事例を中心に紹介する.特に,3Dでの表現に限定し,人物の表現で最も重要な顔及び全身,手,髪といった体の各部位の表現及び再現について研究事例を紹介する.また,フォトリアルなディジタルヒューマンを実現するために近年では4Dキャプチャ(ボリュメトリックキャプチャ)技術の利用が盛んに行われているため,4Dキャプチャによって得られたデータを利用したディジタルヒューマン技術についても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
量子コンピューティングを用いる微分方程式の解法について
On Solving Differential Equations Using Quantum Computing

p.866
岡崎秀晃

本稿では,連続関数は区分的線形関数によって,任意の精度で包囲できることから,非同次の区分線形微分方程式の解を用いて,一般の非線形微分方程式の解を任意の精度で包囲して求められることに注目し,量子コンピューティングによる時間に依存しない非同次線形微分方程式の解法について議論する.線形微分方程式の行列が実・共役複索数の固有値を持つ場合に実・共役複索数の固有値,実・共役複索数の固有値ベクトルを用いた解法と量子コンピューティングのための区分線形関数の近似方法についても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   線形方程式のための量子アルゴリズムについて Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
線形方程式のための量子アルゴリズムについて
Review of the First Quantum Algorithm for Linear Systems

p.859
髙比良宗一

線形方程式は科学や工学,情報科学などの多くの分野で現れる.2009年に提案されたHarrow-Hassidim-Lloyd(HHL)アルゴリズムは,誤り耐性量子コンピュータで線形方程式を扱うための量子アルゴリズムである.この量子アルゴリズムは,係数行列や右辺ベクトルに関するあるアクセスモデルの下で,解に対応する量子状態を,行列のサイズに関して対数の計算量で計算する.数値解を求めてはいないものの,その高速さから提案以降注目を集め,数値線形代数や機械学習に関する多くの量子アルゴリズムの提案につながった.本稿では,ブレークスルーを起こしたHHLアルゴリズムについて,実装例とともに紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   量子技術に着想を得たCMOSアニーリングの概要と量子/CMOSアニーリングの普及に向けた取組み Overview of CMOS Annealing Inspired by Quantum Technology and Efforts towards the Popularization of Quantum/CMOS Annealing

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
量子技術に着想を得たCMOSアニーリングの概要と量子/CMOSアニーリングの普及に向けた取組み
Overview of CMOS Annealing Inspired by Quantum Technology and Efforts towards the Popularization of Quantum/CMOS Annealing

p.854
山岡雅直 山本佳生 真下まゆ美

社会課題の解決には様々な最適化問題を解く必要がある.組合せ最適化問題を高速に解くと期待されているのが新しいコンピューティング技術であるアニーリングマシンである.CMOSアニーリングはその一つであり,本稿ではその概要を説明する.また,新しいコンピューティング技術を普及させるために,Annealing Cloud Webという初学者向けのWebサイトを運営する取組みがあるため,それについても紹介する.

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム   シリコン電子スピン型量子コンピュータ開発 Development of Silicon-based Electron Spin Quantum Computer

小特集 量子コンピュータにおける回路とシステム
 
シリコン電子スピン型量子コンピュータ開発
Development of Silicon-based Electron Spin Quantum Computer

p.846
菅野 雄介

近年,IBM,Googleによる超伝導型量子コンピュータの開発により,量子コンピュータへの関心が高まっている.量子コンピュータは,古典的な“0”,“1”の情報のみならず,それらの重ね合わせの状態の情報をも一つの量子ビットで表現できる能力を有しており,社会問題解決の効率的なソリューション実現への期待が高まっている.本稿では,量子コンピュータの概説とともに,現在開発推進中のシリコン大規模量子コンピュータの実現に期待の高まるシリコン電子スピン型量子コンピュータの開発,特に,極低温量子ビット制御方式の開発について述べる.

小特集 Beyond 5G 時代を支える光ネットワークの技術動向と展望   1. Beyond 5G 時代の研究開発が進むべき方向 ──産業・地域・年代を越えるオープンな協創を実現するために── Direction of R&D in Beyond 5G Era: To Realize Open Co-creation across Industries, Regions, and Generations

小特集 Beyond 5G 時代を支える光ネットワークの技術動向と展望
 
1. Beyond 5G 時代の研究開発が進むべき方向 ──産業・地域・年代を越えるオープンな協創を実現するために──
Direction of R&D in Beyond 5G Era: To Realize Open Co-creation across Industries, Regions, and Generations

p.750
石津健太郎

Beyond 5Gをモバイル通信システムの進化系と理解すると,研究開発の方向性を見失うかもしれない.人間中心の社会の実現を提唱するSociety 5.0の実現に当たっては,技術主導の議論を行う前に,まず実現したい夢の未来生活を描き,取り組むべき研究テーマを導く必要がある.しかし,ニーズが多様化する社会では,独立した研究成果だけでサービス化することは難しく,産業・地域・年代を越えて協創できるオープンな情報通信プラットホームが必要だ.本稿では,筆者の所属するNICTの取組みを中心に,Beyond 5Gの研究開発において進むべき方向性と動向を紹介する.

特集 人とAIの協働   水産養殖分野における人とAIの協働 Human-AI Collaboration in Aquaculture Farms

特集 人とAIの協働
 
水産養殖分野における人とAIの協働
Human-AI Collaboration in Aquaculture Farms

p.444
高橋康輔

水産養殖は食糧問題や環境保護などの社会問題を解決するアプローチとして大きな注目を集めている.一方生産現場には現在も数多くの課題があり,特に給餌の省力化・省人化に関する要望は大きい.この課題に対し,我々はAIを用いて魚の摂餌状況を分析し,給餌を自動制御するスマート給餌機を開発している.本給餌機を導入することで,従来では実現が困難であった働き方や生育方法が可能になったという報告がある.また,給餌のほかにも様々な観点でAIの活用が進んでおり,水産養殖は今後も成長が大きく期待できる分野である.

特集 人とAIの協働   気象分野における人とAIの協働 Human-AI Collaboration in the Field of Meteorology

特集 人とAIの協働
 
気象分野における人とAIの協働
Human-AI Collaboration in the Field of Meteorology

p.438
増田有俊

本稿では,気象分野における人とAIの協働の現状と未来について論じた.気象データの活用は健康,交通,電力など多岐にわたり,その重要性が増している.気象予測プロセスは,観測と数値予報及び数値予報結果の補正や翻訳で構成されている.AIは,観測データの雑音除去や数値予報結果の補正などに利用されており,近年は数値予報モデルを用いないAIによる気象予測も注目されている.AIの進展は,気象概況の作成やコンサルティングなど人間の業務を補完する可能性を示しており,今後の気象予測分野におけるAIの活用と協働の拡大が期待される.