福永拓郎
複雑なネットワーク設計問題に近似解を与える解析法とその適用例
所望の制約を満たすネットワークの中でできるだけ低コストのものを求めるネットワーク設計問題は,典型的なグラフ最適化問題の一つである.故障に強い通信ネットワークを構築するのに役立つだけではなく,計算機科学の多岐にわたる分野に応用を持つ.本稿では,ネットワーク設計問題に対する手法の一つであるスパイダ被覆アルゴリズムの基礎と最新の研究動向を紹介する.
複雑なネットワーク設計問題に近似解を与える解析法とその適用例
所望の制約を満たすネットワークの中でできるだけ低コストのものを求めるネットワーク設計問題は,典型的なグラフ最適化問題の一つである.故障に強い通信ネットワークを構築するのに役立つだけではなく,計算機科学の多岐にわたる分野に応用を持つ.本稿では,ネットワーク設計問題に対する手法の一つであるスパイダ被覆アルゴリズムの基礎と最新の研究動向を紹介する.
距離空間によるモデリング,解法と最適化理論
CAT(0)空間と呼ばれるユークリッド空間や双曲空間を一般化した距離空間がある.CAT(0)とは,「曲率が非正」ということを意味している.この空間は,ユークリッド空間で成り立つ様々な良い性質を引き継いでいる.特に,任意の2点を結ぶ測地線(≃最短路)が一意に定まる.このことから凸関数なども自然に定義される.最近になって,CAT(0)空間を利用したモデリングやその上でのアルゴリズム・最適化理論が展開され始めている.本稿では,そのような試みの一端を紹介する.
政府→大学→産業:政策的人材育成が将来の経済発展への道
インド人ポスドクの日本体験談
邪魔にならない小形の電磁界センサができる
モバイル社会の進展に伴い,通信をはじめとする様々な分野で電磁波が利用されるようになった.このような状況を反映し,電界や磁界の状態を正しく計測する手法が求められている.電磁界計測の手法は様々であるが,光技術を利用した計測法が20世紀後半に提案されて以来,現代においても多彩なアプローチで研究・実用化がなされている.本稿では,光技術を利用した電磁界計測のエッセンスを解説するとともに,我々のグループにおける本計測法の応用例を紹介する.
アナログ的なアプローチによるディジタル時代のシステム最適化への挑戦
光技術により電波の発生・検波を行うマイクロ波・ミリ波フォトニクス技術は,通信の分野ではシステム構築の柔軟性や簡素化など,計測の分野では広帯域性や低じょう乱性などの利点があり,現在,国内外で活発に研究開発が進められている.次世代移動通信システムにおいて,ネットワーク接続された多数の基地局から成る構成が検討されており,光ファイバ通信と無線通信の更なる融合が期待されている.本稿ではこのような光と無線の融合領域の開発の方向性を議論し,マイクロ波・ミリ波フォトニクス技術の動向を紹介する.
世界的に盛り上がってきた「日本発」の通信技術,今後の展望は?
本稿では,可視光通信の実用化技術とそれを活用した製品について紹介する.まず,可視光通信の動向を示す.次に可視光通信を活用した製品として,アウトスタンディングテクノロジーの照明無線LANシステム,パナソニックの光IDソリューションであるLinkRay,富士通の可視光通信を利用したコンテンツ配信サービスであるFlowSign Light,カシオの色で情報を伝えるピカリコを取り上げ紹介する.また,本稿では,これら製品の背景にあるコア技術である,イメージセンサ通信,可視光ID,光OFDM,ローリングシャッタ方式も紹介する.
深海のかなたでもスマートフォンが利用可能になる世界
これまでの水中無線通信は低速な音響通信に頼ってきた.しかしコンピュータで扱うデータの増大に伴い,より高速な無線通信手段として,可視光を用いた水中可視光無線通信が注目されている.我々は水中移動体との高速無線通信を実現するために,青,緑,赤色の可視光レーザダイオードを送信素子に,光電子増倍管を受光素子に用いた光無線通信装置の開発を進めている.可視光は水中でも空中でも伝搬するため,水面をまたいだ通信も可能である.特に太陽光の届かない深海は光通信に適した環境であることから,水中ドローンへの利用拡大が期待できる.