本田雅一
生活を進化させる社会交通システムの発展
自動車を中心とする社会交通システムの発展において,過去から未来に向けてのエレクトロニクスの貢献について概観する.カーエレクトロニクスは,これまで排出ガス浄化・燃費向上から始まり,車単体や社会との連携により移動の安全確保や車内の快適・利便性の向上を支えてきた.
今後は,交通情報システムから社会交通システム全体の進歩にますます貢献してゆくであろう.
生活を進化させる社会交通システムの発展
自動車を中心とする社会交通システムの発展において,過去から未来に向けてのエレクトロニクスの貢献について概観する.カーエレクトロニクスは,これまで排出ガス浄化・燃費向上から始まり,車単体や社会との連携により移動の安全確保や車内の快適・利便性の向上を支えてきた.
今後は,交通情報システムから社会交通システム全体の進歩にますます貢献してゆくであろう.
物理空間と仮想空間を結ぶIoT社会の鍵
センサは外界の種々の情報を捉える素子で,温度,磁気,光,圧力,加速度等の物理量,そしてガス,イオン,バイオ物質等の化学量を電気や光等の伝達・処理しやすい信号に変換する.センサは,新物質の発見,MEMS三次元構造の作製技術の進歩,集積回路素子との一体化技術の改良,信号処理技術の進化とともに小形化,高機能化,多様化,多次元化,低価格化が図られ,発展してきた.これらの技術的発展と現状について,代表的なセンサを分類して紹介する.
増え続ける情報も光の進化でつなげる
現在の光通信を支える光エレクトロニクスとして,レーザ,受光素子,変調器,ファイバ,増幅器などの光デバイスについて初期から最近までの進展を振り返る.また,波長多重,多値変調などの多重化によるネットワークの超大容量化の動きや高度化するネットワークについて概観し,対応する集積化などのデバイス技術について今後の展望を議論する.
進化し続ける最先端システムは技術革新と表裏一体
コンピュータシステムの高性能化の歩みについて,プロセッサの高周波数化,メモリとのデータ転送の拡大,並列処理の三つの視点で振り返る.コンピュータのアーキテクチャやマイクロプロセッサの発展に対して半導体技術やエレクトロニクスがいかに貢献してきたかを概観する.
5G/6G に向けた周波数資源の開拓
無線資源である周波数の有効利用には,①既に割り当てられている周波数をより効率的に利用する技術と,②未使用周波数の開拓が重要である.一般に①は多重化や周波数の再利用などを指しており,第4世代までの無線ネットワークにおける主要な研究テーマであった.②はミリ波帯などの周波数の開拓を指しており,第5世代無線ネットワーク(5G)において実現される予定である.しかしながら②はその伝搬損の問題からカバレージを確保するために空間的に分散した①を用いざるを得ない.つまりミリ波を用いる5Gは,①と②の両方を用いて究極の無線資源の有効利用を目指しているのである.
「無線」によるコミュニケーションの歴史とこれから
移動体無線通信はアナログ音声通信から始まり,ギガビット級のデータレートを実現できるようになった.近年では,第5世代移動通信システム(5G)に関する研究開発や標準化活動が積極的に進められており,世界各国で5Gの実証実験が検討され,移動通信システムの標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)では,5Gの新しい無線通信方式についての標準化議論が開始されている状況である.本稿ではこれまでの無線通信方式の変遷を振り返るとともに,5Gを中心とする将来の無線通信方式技術や標準化への取組み状況について述べる.
究極の高性能化とコモディティ化に向けて
インターネットやスマートフォンの普及に伴うトラヒックの増大を陰で支えてきたのは,張り巡らされた光ファイバ通信網である.本稿では,光ファイバ増幅技術と波長分割多重伝送技術を起点に,光ファイバ技術のこの25年間の進化を,幹線系とアクセス系に分けて概観する.今や情報通信技術は一般化し,クラウドに集結・蓄積されたデータを用いて,いかなるサービスができるかに焦点が移っており,市場構造も変革を迎えている.光ファイバにも,高速にデータを収集・処理するための,究極の高性能化とコモディティ化が求められている.
PON 技術を応用した柔軟なネットワークの実現に向けて
光アクセス技術は,超広帯域の光ブロードバンドサービスを実現するための経済的光伝送技術として進展されてきた.本稿では,光アクセス技術の技術動向を解説するとともに,移動体通信システムでの光アクセスの役割を紹介し,これを支えるアクセス系伝送技術として,光伝送容量削減に向けた取組み,経済化のためのPON技術適用時の低遅延化技術について述べる.また,更なる光アクセス技術の高度化に向けて,ソフトウェア技術の活用やオープン化などの取組み,ディジタルコヒーレント技術の適用についての取組みを紹介する.
IoT/IoE 時代の通信インフラを下支えする基盤技術を紹介
将来の通信ネットワークに対する様々な要求事項を踏まえて,あらゆる情報通信サービスを支える通信ネットワーク基盤について検討する.本稿ではまず,異なるレイヤで構成される複数ネットワークを効率的に運用可能な広域マルチレイヤネットワーク基盤について紹介する.本ネットワーク基盤では,仮想化技術を利用することで,広域の仮想ネットワークを構築する.また,広域マルチレイヤネットワーク基盤の実現を目指すNetroSphere(ネトロスフィア)構想を併せて紹介する.次に,広域マルチレイヤネットワーク基盤の確立に必要不可欠なマルチレイヤ・マルチドメイン統合制御技術について述べる.この統合制御技術によって,広域の仮想ネットワークを利用する際の効率性,可用性,利便性が向上する.更に,将来無線通信のためのコアネットワーク技術として,ネットワークスライシングとモバイルエッジコンピューティングを紹介する.最後に今後の展望について述べる.