蔵田武志
レストラン~物流倉庫のサービス現場を「ラボ化」で改善
「現場のラボ化」は,行動センシングや作業プロセス分析を用いた仮説・検証をできるだけ厳密に繰り返し行うといった従来はラボでしかできなかった方法論を,実際の現場に持ち込もうとするものである.本稿では,行動センシング技術として近年注目が集まっているPDR(Pedestrian Dead Reckoning)やハイブリッド測位技術と,それらのサービス・製造プロセス分析への応用について紹介する.
レストラン~物流倉庫のサービス現場を「ラボ化」で改善
「現場のラボ化」は,行動センシングや作業プロセス分析を用いた仮説・検証をできるだけ厳密に繰り返し行うといった従来はラボでしかできなかった方法論を,実際の現場に持ち込もうとするものである.本稿では,行動センシング技術として近年注目が集まっているPDR(Pedestrian Dead Reckoning)やハイブリッド測位技術と,それらのサービス・製造プロセス分析への応用について紹介する.
基地局の空間配置を確率的に表現・分析するための新たなアプローチ
最近,無線通信ネットワークに対して,無線ノードの位置を空間点過程を用いて表現し,そうして構成された確率モデルを解析して無線ネットワークの設計や性能評価に活かそうという,空間確率モデルの研究が活発に行われています.本稿では,この空間確率モデルについて,セルラネットワークに焦点を当てて概説します.はじめに,基本的な設定のもとでモデルを紹介し,その解析手順を説明します.その後,基本モデルを基にして,現在までにどのような実際の設定を考慮した解析がなされているのかを概観します.
積分幾何によって領域の面積と周長でQoS 特性を評価する
センサによる現実世界の情報収集など,平面上の現象としてモデル化できる情報通信ネットワーク関連の現象が増大している.本稿では,これらの現象に対する数学的手法として,積分幾何に着目する.平面上の積分幾何は,高度な数学的知識も必要とせず,陽な公式も多く知られているため,比較的容易に様々な用途で使用できると思われる.本稿では,特に,移動体ネットワークやセンサネットワークに関わる例題を示して,解説する.
端末間競合推定の工夫による評価法の新展開
無線LANを利用する無線端末の内部には送信待機中のフレームの待ち行列が形成され,各待ち行列からは共通のチャネルを介してフレームが送信される.このため,無線LANのスループット性能評価の際には,各端末内部のフレームの待ち行列に加えて,端末間(待ち行列間)の競合を正しく考慮することが必要となる.本稿では,端末内部のフレームの待ち行列間の競合を考慮できる数理モデルを用いて,無線LANの性能を評価する研究例について解説する.
情報通信システムに現れる「待ち行列」の豊かな世界
トラヒック理論を源流とした待ち行列理論は,通信やコンピュータシステムの性能評価を行う際の数理的な基盤として広く用いられてきた.コールセンターやデータセンターは,待ち行列が長くなるほど離脱客が増えるといった状態依存形の待ち行列でモデル化できることが多い.本稿では状態依存形の待ち行列,特に状態依存形の準出生死滅過程でモデル化される待ち行列に焦点を当て,コールセンターやデータセンターの適用事例を通じて,その概略と課題を紹介する.
IoT 時代の新たな脅威に立ち向かう
ネットワークを通じて様々な‘もの’が接続し,それらから得られる情報が新たな価値を生み出す新しい情報社会の形としてIoT(Internet of Things)という概念が注目されている.一方,これまでのインターネットの発展とそれに伴うサイバー攻撃の増大の歴史が示すとおり,高い価値の創出は,それを奪取したり,操作したり,破壊しようとする不正な試みを誘引する.本稿では,IoTの発展がもたらすセキュリティ上の脅威と,このような脅威に対してネットワークセキュリティ技術が果たすべき役割とは何かを考察する.まず,これまでに発生しているインシデントの事例や先端研究により明らかとなったぜい弱性について解説するとともに,今後発生し得る脅威について考察する.更に,これらの事例等から今後ネットワークセキュリティ技術に求められる役割について考える.
ガバナンス,監視とプライバシー保護における国際的な二つの潮流
経済がグローバル化した今日,ネットワークセキュリティは国家の成長,安全保障に不可欠の要素であり,各国はサイバーセキュリティやデータ保護に関する政策実施・法制化を推進している.セキュリティ政策は一国に閉じるものではなく,国際的な協調が必須である.本稿では,ネットワーク管理の基本となるサイバー空間の統治と,ネットワークセキュリティに関連する各国の政策について,最新の動向を解説する.
手軽で身近な脅威への対応策
近年,国内外においてDDoS攻撃が規模,攻撃数共に増加傾向にある.その原因の一つに,DDoS攻撃代行サービス等の存在があると考えられ,攻撃の簡単さと,引き起こす被害の大きさが深刻な問題になっている.しかし,DDoS攻撃は100Gbit/s以上の規模のトラヒックが発生することもあり,ネットワークの上流に位置するプロバイダ側の対策は必須となる.本稿では,DDoS攻撃の仕組みや手法に関して説明し,攻撃への対策として国内最大規模のインターネットバックボーン設備を持つNTTコミュニケーションズでの取組みを紹介し,最後にDDoS攻撃への対応事例を説明する.