小特集 食とICT   1. 食とICT の動向:マルチメディア処理の観点から ─ユーザと管理栄養士のための新しい食事記録ツール─ Food Computing : From Multimedia Perspective ; Food Recoding Tool for Users and Dietitians

小特集 食とICT
 
1. 食とICT の動向:マルチメディア処理の観点から
─ユーザと管理栄養士のための新しい食事記録ツール─
Food Computing : From Multimedia Perspective ; Food Recoding Tool for Users and Dietitians

p.876
相澤清晴

活用が進む,食へのメディア処理
 近年は,食事情報のマルチメディア処理の研究発表が,マルチメディアやコンピュータビジョンの会議にて,頻出するようになった.本稿では,それらで対象とされる食事画像認識,マルチモーダル処理についての概要を述べるとともに,筆者らが長らく取り組んできた食事記録に関して論じる.現在,新しい視点に基づくツールFoodLog Athlを新たに開発・公開し,利用者への提供を進めている.そのツールは,ユーザだけでなく,管理栄養士に利用してもらうことを意図している.ユーザ,管理栄養士双方からの視点でシステムの機能を紹介する.

小特集 宇宙通信新時代の幕開け   6.宇宙エレベータ技術とその通信応用 Space Elevator and Communication Technology for Space Elevator

小特集 宇宙通信新時代の幕開け
 
6.宇宙エレベータ技術とその通信応用
Space Elevator and Communication Technology for Space Elevator

p.829
大野修一 八坂哲雄

夢物語ではない,次世代の宇宙大量輸送システム
 宇宙エレベータは地球や火星,小惑星など太陽系の多くの場所で設置と活用が可能な,現在のロケット技術に代わる次世代の宇宙大量輸送機関である.本稿では宇宙エレベータの全体像と構成要素の概要,その実現が人類社会にどのような恩恵をもたらすのか解説する.また,宇宙エレベータ技術の確立の途上にあるテザー衛星技術と通信技術の開発においてスピンオフを期待できる,静止軌道チェーン衛星の構想の概要についても解説する.

小特集 宇宙通信新時代の幕開け   4.宇宙通信新時代を支える ──1bit/sから100 Gbit/sの衛星通信を支える技術── The Satellite Communication Technologies with Scalable Bandwidth up to 100 Gbit/s to Realize New Era of Space Networking

小特集 宇宙通信新時代の幕開け
 
4.宇宙通信新時代を支える
──1bit/sから100 Gbit/sの衛星通信を支える技術──
The Satellite Communication Technologies with Scalable Bandwidth up to 100 Gbit/s to Realize New Era of Space Networking

p.815
米田誠良

宇宙サービスの可能性を広げる新たな通信技術
 衛星搭載通信系においては大きく,「コマンド受信・テレメトリー送信の役割を担うトランスポンダを中心としたTT&C系」と,「観測データを地上に伝送する変調器を中心としたミッションデータ伝送系及び,放送電波や各種通信信号を中継処理する通信衛星中継ペイロード系」に分けられる.TT&C系においては小形高性能であることとともに,高い信頼性も求められる.ミッションデータ伝送系や中継ペイロード系においては,高速化及び通信要求への柔軟な対応を目指し,ディジタル技術の導入によるスマート化が求められている.また昨今,電波監視のニーズの高まりを受けた対応も求められる状況にある.これらを支える技術について紹介を行う.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-8 不揮発性メモリを用いたAIチップの実装技術 AI Chip Implementation Technology Using Non-volatile Memory

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-8 不揮発性メモリを用いたAIチップの実装技術
AI Chip Implementation Technology Using Non-volatile Memory

p.543
河野和幸

低消費電力を実現するアナログAIチップとは?
 人工知能(AI)が近年注目されているが,AI処理を行うためのハードウェアの消費電力が大きな課題となっている.この課題を解決するための技術として,ニューロモルフィックコンピューティング,あるいはインメモリコンピューティングと呼ばれる不揮発性メモリを用いた非ノイマン形AIチップが近年注目されている.本稿では不揮発性メモリを用いたAIチップの動作原理と特長,及び筆者らの研究グループが開発した抵抗変化形メモリ(ReRAM)を用いたAIチップの回路実装技術とその性能について述べる.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-6 ベクトルプロセッサを用いたAI処理の高速化 High Performance Implementation of AI Processing with Vector Processor

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-6 ベクトルプロセッサを用いたAI処理の高速化
High Performance Implementation of AI Processing with Vector Processor

p.529
荒木拓也 大野善之 石坂一久

機械学習を高速化するフレームワークの実装・評価の事例紹介
 NECは1980年代からベクトル形コンピュータの提供を行っている.従来は大形モデルのみでありスーパコンピュータとしての用途が中心であったが,最新のSX-Aurora TSUBASAからはベクトルプロセッサをPCIeカード上に実装することで,小形モデルからの提供を可能としている.これに伴い,ベクトルプロセッサの新たな応用としてAI処理の高速化を行っている.ベクトルプロセッサが得意とするメモリバンド幅を生かすアルゴリズムのうち,統計的機械学習及び深層学習を対象とし,フレームワークの実装,移植を行った.本稿ではその実装と評価について紹介する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-3 FPGAによる自己組織化マップのハードウェア化 ──打音検査システムへの適用に向けて── Hardware Implementation of Self-organizing Map Using FPGA and Its Application to Impact-echo Testing

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-3 FPGAによる自己組織化マップのハードウェア化
──打音検査システムへの適用に向けて──
Hardware Implementation of Self-organizing Map Using FPGA and Its Application to Impact-echo Testing

p.507
安永守利

自己組織化マップの高速化と適用事例
 自己組織化マップ(SOM : Self-Organizing Map)は,ディープラーニングニューラルネットワーク(DLNN)と同様に,脳の神経回路網をモデルとするAIの手法である.SOMは,「教師なし学習」「学習結果の可視化」といったDLNNにはない特徴を有する.また,SOMもDLNNと同様,学習に多くの計算時間を必要とする.本稿では,はじめにSOMの基礎事項を解説する.そして,FPGAによるSOM専用ハードウェアの一例を示し,そのコンクリート打音検査装置への適用結果と有効性を示す.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 3. AI 実装技術   3-1 大規模深層学習のGPUへの実装技術 Design and Implementation of Deep Learning on GPU for Large Scale Neural Networks

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
3. AI 実装技術
 
3-1 大規模深層学習のGPUへの実装技術
Design and Implementation of Deep Learning on GPU for Large Scale Neural Networks

p.495
根岸 康 今井晴基 Tung D. LE 河内谷清久仁

学習フェーズの大幅な時間短縮を目指して
 深層学習(ディープラーニング)用システムでは,学習時間の短縮のためにGPU(Graphics Processing Unit)を使用することが多い.本稿では,最初に深層学習システムに要求される演算とその実装について解説し,次にGPUへの実装にあたっての技術課題とそれを克服するための実装技術について説明する.更に筆者らが主に取り組んでいるGPUメモリより大きい深層学習モデルをGPU上で実行するための大規模深層学習技術について,その必要性,実装方針,技術課題や実装技術について説明する.最後にMRIによる高解像度医療画像の大規模深層学習技術による解析事例について紹介する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 2. ハードウェア技術   2-1 コンピュータハードウェアの歴史と技術動向 History of Computer Architectures and Trends of Its Technologies

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
2. ハードウェア技術
 
2-1 コンピュータハードウェアの歴史と技術動向
History of Computer Architectures and Trends of Its Technologies

p.468
片桐孝洋

AI時代につながる計算機アーキテクチャの軌跡
 昨今のAI技術の進展は,コンピュータハードウェアの関連技術の発展と密接に関係している.本稿では,現在普及しているコンピュータにおける演算の高速化に興味がある読者に対し,コンピュータの歴史を示すとともに,AIに必要な演算の観点から,コンピュータハードウェアの技術動向について俯瞰的に述べる.基盤技術開発時の技術と最新技術の双方を示すことで,コンピュータハードウェアの側面から見た演算性能の高速化の技術進展を解説する.

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術 1. 近年の人工知能関連技術の動向   1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向 Technical Trends of Data Analytics on Data-driven Approaches

特集 様々なハードウェアに適応したAI実装技術
1. 近年の人工知能関連技術の動向
 
1-3 データ駆動形アプローチにおけるデータアナリティクスに関する技術動向
Technical Trends of Data Analytics on Data-driven Approaches

p.461
後藤正幸

ビッグデータを価値につなげるAIと“見える化”分析
 近年,様々な場面でAI技術を活用したデータ分析の活用が進められている.従来の統計分析では仮説駆動形のアプローチが主流であり,設定した仮説を検証するためにデータが収集されていた.これに対し,近年ではセンシングやIoT(Internet of Things)などの情報技術の発展に伴って,人々の活動の記録として多様なデータが生成され,蓄積されるようになっている.このようなリッチなデータを活用したデータ駆動形アプローチが注目されるようになり,AI技術を駆使した様々なデータ分析技術が活用されるに至っている.本稿では,主にビジネスデータ分析におけるAI活用の技術動向について解説する.