小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――   10. 倫理綱領・行動指針の改定について Revise Charter of Ethics of IEICE

小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――
 
10. 倫理綱領・行動指針の改定について
Revise Charter of Ethics of IEICE

p.220
電子情報通信学会倫理綱領検討小委員会

倫理綱領と行動指針の改定
 2011年に行われた電子情報通信学会倫理綱領の改定と行動指針の制定から10年が経過した.この間に電子情報通信技術の発展により,社会や経済はディジタル化の恩恵を受けて大きく変化し,学会や学会員を取り巻く環境も大きく変化している.その変化に伴い,倫理綱領と行動指針も時代の変化に対応し続けるためにも定期的な見直しの検討が必要である.本稿では,2021年に設置された本会倫理綱領検討小委員会における検討の経緯と,これまでの議論をまとめた改定案を紹介する.

小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――   2. データサイエンス・人工知能社会における差別と偏見 Discrimination and Social Biases in AI/DS Society

小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――
 
2. データサイエンス・人工知能社会における差別と偏見
Discrimination and Social Biases in AI/DS Society

p.184
村上祐子

誰も取り残さないデータソサイエティのために
 我々及びそれ以降の世代は人工知能(AI)やデータサイエンス(DS)が社会インフラに組み込まれた社会で様々な社会資源を利用しながら暮らすことになる.現在の社会には差別や排除の構造が組み込まれており,可能であれば今後はその構造を除去したいところだ.しかし,過去のデータに基づいて組み立てられたシステムでは過去の差別や偏見が強化される.この現象をアルゴリズム的偏見と呼ぶことがある.本稿では更に,データ項目設計・データ収集・データ分析・社会における利用の四つのステージに分けて考察し,特にデータ項目設計のステージで社会制度に内在する差別をそのまま反映させることをハンナ・アーレントの観察の延長線上にあるものとしてディジタル版「凡庸という悪」と呼ぶことを提案する.

小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――   1. 良い倫理的意思決定のための倫理綱領 ――研究・イノベーションと倫理―― Code of Ethics for Better Ethical Decision Making:Research, Innovation, and Ethics

小特集 電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――
 
1. 良い倫理的意思決定のための倫理綱領
――研究・イノベーションと倫理――
Code of Ethics for Better Ethical Decision Making:Research, Innovation, and Ethics

p.178
大谷卓史 大澤博隆 壁谷彰慶 川口嘉奈子 川口由起子 神崎宣次 久木田水生 杉本俊介

より良い意思決定のため倫理綱領を生かすには
 専門職団体の倫理綱領は,その団体成員が重視する価値を社会に宣言し,その専門知を善用することを約束する働きがある.その一方で,成員の専門職としてのアイデンティティの形成や倫理的意思決定(倫理的判断)の支援も期待されている.本稿においては,倫理的判断を支援する倫理ガイドラインを参照し,倫理的判断の基本的枠組み及び,複数の価値の対立があった場合の問題などを解説し,研究・イノベーションの各場面で科学者・エンジニアが良い倫理的判断を行うため,倫理綱領をどのように活用すべきか考察する.

小特集 データセンターネットワークの最新動向   5. B5G/6Gにおけるエッジコンピューティングの役割と超スマート社会への展開 Evolution of B5G/6G Empowered by Edge Computing towards Super Smart Society

小特集 データセンターネットワークの最新動向
 
5. B5G/6Gにおけるエッジコンピューティングの役割と超スマート社会への展開
Evolution of B5G/6G Empowered by Edge Computing towards Super Smart Society

p.129
阪口 啓 中里 仁 久保田啓一 福田英輔 朽津光広 益子 宗

Beyond 5G/6G時代の超スマート社会を支えるエッジコンピューティングの活用法とは
 B5G/6G時代に創出される超スマート社会サービスプラットホームは社会に革新的発展をもたらすであろう.また,そのプラットホームを実現する主要技術がエッジコンピューティングである.そこで本稿では,B5G/6Gにおけるエッジコンピューティングの役割と超スマート社会への展開について概観し,更に東京工業大学大岡山キャンパスに構築しているB5G/6Gの実証フィールドとエッジコンピューティングを活用したアプリケーションの実装例を紹介する.

小特集 データセンターネットワークの最新動向   4. データセンターにおける光スイッチネットワーク技術の動向 Recent Development of Optical Switching Technologies in Datacenters

小特集 データセンターネットワークの最新動向
 
4. データセンターにおける光スイッチネットワーク技術の動向
Recent Development of Optical Switching Technologies in Datacenters

p.121
植之原裕行

より大容量,低遅延,低消費電力を目指して
 データセンターへの光スイッチングシステム導入は,成長を続けるデータセンターにおける高速・大容量データに対して,その広帯域性・低遅延性・低消費電力のアプローチとして研究開発が進められている.光スイッチングシステムにも経路制御や切換速度によって異なる形態があり,その特性に応じて適した光スイッチ素子の選択が求められる.本稿では,研究開発されている光スイッチングシステムの構成・各種光スイッチ素子について解説する.また最近の研究開発の動向について紹介する.

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向   5. 映像フレームレート変換の技術動向 Technology Trends in Video Frame Rate Conversion

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向
 
5. 映像フレームレート変換の技術動向
Technology Trends in Video Frame Rate Conversion

p.25
川田亮一

「古くて新しい」画像処理技術のこれまでとこれから

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向   4. ディスプレイの高画質化技術動向 Technology Trends in Information Display for Improving Image Quality

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向
 
4. ディスプレイの高画質化技術動向
Technology Trends in Information Display for Improving Image Quality

p.20
薄井武順

リアリティの高い映像表現の実現に向けたディスプレイの最先端技術

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向   2. カラー動画像雑音除去の最新動向 Latest Trends in Color Moving Image Denoising

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向
 
2. カラー動画像雑音除去の最新動向
Latest Trends in Color Moving Image Denoising

p.10
小松 隆 中村 聡

今も進化が続くカラー動画像の雑音除去技術

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向   1. 画像復元における分析・合成システム Analysis and Synthesis Systems in Image Restoration

特別小特集 画像の高画質変換技術の最新動向
 
1. 画像復元における分析・合成システム
Analysis and Synthesis Systems in Image Restoration

p.2
村松正吾

モデルベース手法が与える深層学習の解釈性と説明可能性

小特集 電子スピンの回路とシステムへの応用   4. 電子顕微鏡のスピントロニクス応用 ――磁界計測―― Applications of Electron Microscopes for Spintronics:Magnetic Field Measurements

小特集 電子スピンの回路とシステムへの応用
 
4. 電子顕微鏡のスピントロニクス応用
――磁界計測――
Applications of Electron Microscopes for Spintronics:Magnetic Field Measurements

p.1421
谷垣俊明

電子の波で見る微細な磁界分布
 電子顕微鏡によるナノスケール観察はデバイス開発及び製造管理において有用な解析手法の一つである.環境負荷軽減への貢献が期待されるスピントロニクスデバイスの開発においては,電子顕微鏡による電磁界計測技術が有用な解析手法となると期待される.本稿では,低消費電力デバイスへの応用が期待されるスキルミオンの磁界観察,三次元磁界観察,及びサブナノスケール磁界観察への電子線ホログラフィーの応用事例を紹介する.