安田雅哉
情報の機密性保護と利活用の両立による可能性
近年,スマートフォンやタブレット端末の普及により,簡単に情報検索ができるようになった.クラウド利用も身近になり,ビッグデータ解析による新しい情報利活用社会に今後進化することが予想される.より便利な情報社会に進化する一方で,データの機密性を保護する需要が急速に求められている.準同形暗号は暗号化したまま加算や乗算などの処理が可能な暗号技術で,クラウドに集まるデータの機密性保護と利活用の両立を可能とする暗号技術として注目を集めている.特に,暗号化したまま任意の演算が可能な完全準同形暗号は,2009年のGentryによる提案以降,技術開発と実応用の両面で活発に研究されている.そこで本稿では,準同形暗号の応用例を幾つか紹介する.